「Brian Roberts氏とDavid Cohen氏は、民主党の大きな資金源であり、Biden氏との付き合いは長い。だから、Biden氏とのつながりがあっても、意外ではない」。そう話すのは、元FCC委員長のTom Wheeler氏のもとで職員を務めたGigi Sohn氏だ。Trump政権で撤廃されたネット中立性規制を推進したのは、Wheeler委員長時代のFCCだった。
Sohn氏は、Biden氏が大統領に就任したとしても、ネット中立性がどうなるかについてはそれほど心配していないと言う。
「Biden大統領が誕生すれば、ネット中立性を復活させ、電気通信法の第II編のもとでブロードバンド市場を監督するFCCの権限を復権するような、FCC委員長を任命すると確信している。これはObama元大統領のトレードマークとも言える構想のひとつだった。Biden氏がそれを崩すとは考えられない」(Sohn氏)
Biden氏が上院議員だった頃と比べると、ネット中立性をめぐる政治情勢が変化していることも、Sohn氏は指摘している。電気通信法第II編のもとでのネット中立性は、上院少数党院内総務のChuck Schumer氏と、下院議長Nancy Pelosi氏のどちらからも強く支持されている。ということは、ネット中立性の強力な保護に反対することは、民主党が掲げる現在の綱領の中核的な原則に逆らうことになりかねないのだ。
Biden氏は、米国の中流階級層を建て直すことが「われわれの時代の道徳的な義務」だと主張してきた。そして、地方における経済機会の活性化と保証が、その建て直しの土台になると考えている。地方経済を発展させる戦略の大きい要素が、200億ドル(約2兆1500億円)を投資して、現在ブロードバンドがない地域にブロードバンドアクセスを導入することだ。同時に、地方のコミュニティーに光ファイバーによるブロードバンド接続を導入するために、各地の公益事業と協力することも訴えている。
Biden氏の地方政策では、こう述べられている。「高速ブロードバンドは、21世紀の経済において不可欠だ。これほど多くの仕事とビジネスが場所を問わず展開される時代にあって、高速インターネットへのアクセスは、地方にとって経済的にさらに不利になる要因ではなく、経済を平等化する大きな要因になるべきだ」
COVID-19の危機的な状況によって、インターネット普及状況の格差が明らかになっている。Biden氏の選挙キャンペーンでは、ブロードバンドインフラへの200億ドルの投資で、この格差を埋めることを目指す、とうたっていた。
「この地球規模で起こっているパンデミックによって、経済的影響がこれから何カ月も続くと考えられる今、この格差を埋め、誰もが使えるデジタルインフラを整備することは極めて重要だ」。キャンペーン中、この政策に関する声明ではこのように語られた。
デジタルデバイドは、共和党でも認識されている問題だ。ホワイトハウスは、FCCと協力して「Rural Digital Opportunity」(地方部デジタル機会)プログラムを進めており、現在十分なサービスを受けられていない地域でブロードバンドインフラを支援する資金として、204億ドルがブロードバンドプロバイダーに配分されることになる。Trump大統領は、2兆ドル(約215兆円)規模のインフラ計画に、高速インターネットアクセスも盛り込んでいる。
Warren氏は、AmazonやFacebookなど巨大IT企業を解体すべきと主張していたが、Biden氏は企業の解体を論じるのは時期尚早だとし、むしろその権力を抑止する手段として規制強化に傾いている。
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