Zホールディングス(ZHD)は3月24日、物流・配送の強化に向けた新たなコマース戦略を発表。あわせて、ヤマトホールディングスと業務提携に向けた基本合意書を締結。ヤマトホールディングスは、Zホールディングス傘下のヤフーが運営するオンラインショッピングモールに出店するストアに向けて、受注から出荷までの業務を代行する新物流サービスを6月30日から提供する。このほか、実店舗との連携施策やヤフーのショッピングシステム「XSエンジン」の提供なども発表した。
ヤマトホールディングスが提供する新物流サービスは「フルフィルメントサービス」と「ピック&デリバリーサービス」で、PayPayモールおよびYahoo!ショッピングの出店ストア向け専用として提供。商品の受注から出荷までの一連の業務または一部を、ヤマトホールディングス側で代行するサービスとなっている。
出店ストア側はこのサービスを活用することにより、出荷作業の負担を軽減や、物流にかかる人件費などのコストを削減ができるとうたう。また、フルフィルメントサービスを利用した場合、ストアが定休日でも出荷が可能となるため、受注から出荷までのリードタイム(時間)が短縮。翌日配達の件数が増え、ユーザーの利便性も向上するとしている。ヤマトホールディングスでは、出店ストアからこのサービスの受付を3月24日より開始する。またヤフーでは、新物流サービスの利用ストアの商品を購入した人限定で、送料相当額のPayPayボーナスライトを付与し、送料を実質無料とする期間限定のキャンペーンを実施。期間は6月30日から12月までを予定している。
Zホールディングスは、新コマース戦略においてeコマースとリアルの垣根がなくなる「X(クロス)ショッピング」構想を掲げ、リアル店舗との連携も強化する。PayPayモール上で実店舗在庫情報の連携を行い、2020年秋頃から出店ストアの実店舗にある商品の購入が可能となる。
これにより、例えば実店舗に在庫があってもオンライン店舗の商品が売り切れた場合の販売機会を失うといったことを防ぐほか、ユーザーは欲しいと思った時に、店舗に赴くことで配達を待つことなく商品を入手できるといった利点があるという。また、出店ストア側でも実店舗の集客につながるほか、商品を受け取りに来たユーザーが店舗にある別の商品を購入する“ついで買い”も見込めるという。
実店舗在庫連携の第1弾の取り組みとして、3月10日から「ヤマダ電機 PayPayモール店」などの一部ストアで、実店舗在庫の有無を表示する取り組みを開始。今後は、ZOZOが運営する「ZOZOTOWN PayPayモール店」において、ZOZOTOWN出店ショップの了承のもと実店舗在庫情報の活用を検討するなど、表示できるストアの商品数を拡充していく。2020年秋頃には、PayPayモール上で実店舗在庫を購入し、実店舗で受け取りもできる予定という。
そして、自社でECサイトを運営する事業者に向けて、PayPayモールやYahoo!ショッピングで利用している検索や決済などを含む一連のシステムのXSエンジンを外部向けに提供。自社の独自ドメインでECストアを簡単に構築できるほか、PayPayモールやYahoo!ショッピングに出店し、自社のECサイトを含む複数サイトを一括して運営が可能。PayPay決済、機械学習(AI)を活用したレコメンド機能などのノウハウも活用できるという。これにより、自社ECサイト運営における継続的なシステム投資や、技術開発に必要な人材の確保、自社ECサイトへの集客などの課題解決につながるとしている。
Zホールディングス 代表取締役社長 CEOの川邊健太郎氏は、こうした物流や配送の強化は「欲しいものが欲しいときに手に入る」という世界観の実現に向けたものと説明。「ECの局面が変わり、質が求められる時代になる。さらなるアップデートをしなければならない」とあわせてコメントした。また、Zホールディングス 取締役 専務執行役員の小澤隆生氏は「リアル店舗との連携、そして送客を含めた総合力で満足度を上げていく」と語った。
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