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麻倉怜士の新デジタル時評--ポスト有機ELの本命「Crystal LED」の高画質に迫る

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 オーディオ&ビジュアル評論家麻倉怜士が、注目機器やジャンルについて語る連載「麻倉怜士の新デジタル時評」。今回はポスト有機ELの本命と目されるマイクロLED、その中でも圧倒的な高画質を誇る、ソニーの「Crystal LED」を研究しよう。試作機発表から8年、未だ民生機の登場には至っていないが、展示会やパブリックビューイングなど、格段の高画質を打ち出したい、ここぞというシーンで活用されているCrystal LED。今までのディスプレイとは何が違うのか、なぜ高画質を実現できるのかについて説明しよう。

2012年の衝撃的デビューから8年、Crystal LEDの今

 マイクロLEDがデビューしたのはCES2012のソニーブース入り口での試作機展示。55インチで解像度はフルHD。当時のソニーは決して業績の良い時期とは言えなかったが、新しい画期的なディスプレイ技術のデビューは、会場の話題をさらったことを今でもよく覚えている。2007年に世界初の有機ELテレビ「XEL-1」を発売したソニーにとって、有機ELはすでに"普通”のディスプレイ。その先を行く、LEDそのものが発光するディスプレイとして、登場した。

 商品化はCESでみせた家庭用テレビの形ではなく、マイクロLEDをモジュールにまとめたBtoB用途の「CLEDIS(クレディス)」を2016年に発表し、その後「Crystal LED」と名称変更し、現在に至る。

2012年のCESで初登場した「Crystal LED」
2012年のCESで初登場した「Crystal LED」

 Crystal LEDは驚くほど高画質だ。有機ELと同じ自発光タイプだが、白色の有機ELデバイスにRGBのカラーフィルターを重ねた現行の有機ELディスプレイに比べ、Crystal LEDはLEDそのものがRGB構造のため、効率よく発光でき、色再現性が高い。リフレッシュレートも速いため動画再現力にも優れる。今のところ、理想の画質とも言われている。

 Crystal LEDの高画質の秘密は、LEDの画素サイズだ。約20マイクロメートルと極小で、従来のサイネージ用ディスプレイに比べると数百分の1の小ささだ。ここからいくつかのメリットが引き出される。

 まず背景の黒占有率が99%以上。その分、黒が締まる。さらに点光源そのもののメリット。最近はオーディオでも点音源が理想的と言われている。なぜならピアノでもバイオリンでも、木管、金管の楽器はもともと点音源だからだ。それと同様に画質面でも点光源が高画質の鍵になる。

 その一例が色の純度。サブピクセル間隔の大きな有機ELや液晶テレビでは、黒地に白文字などの場合、サブピクセルの色がエッジに付いてしまう。ところがCrystal LEDは点光源のため、完全に同一場所で発光し、加法混色により白となり、エッジにサブピクセルの色は出ない。だから透明度の高い絵が表示されるのだ。

 階調特性に優れるのも点光源のメリット。サブピクセル間隔が大きいと、本来はなだらかな山形になるはずの発光形の頂点が凹み、平たい部分が形成され、それが連なった状態でグラデーションを描くので、階調のでこぼこができ、ガタついてしまう。Crystal LEDは画素サイズが小さいことから、きれいな配向の円形を描く("ランバーシアンの配光特性"という)。つまり均等で滑らかなグラデーションが再現できるのである。これも超絶リアリティの秘密だ。

 ディスプレイはブラウン管から始まり、プラズマ、液晶、有機ELと進化してきたが、そのどれとも違う"画質力”をCrystal LEDは持つ。こうした飛び抜けた画質の良さを買われ、映画製作の現場にCrystal LEDを使おうという流れがでてきた。

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