一方で、海外における8Kの展開にも言及した。シャープでは、2018年7月に、タイ国政府観光庁と共同で、8Kによる観光プロモーションビデオを制作した経緯があるが、新たにマレーシアでも、政府と共同で2種類の8K映像を制作し、2月28日に、現地で公開イベントを開催したことを明らかにした。
「Amazing編」と「Diverse編」が用意された2つのビデオは、マレーシアで初めて撮影された8K作品で、Amazing編は、アジアにおける観光PR映像を審査、表彰する「Asia Destination Film Awards 2020」の「Tourism Board(観光局)部門」において、部門賞を受賞したという。
戴会長兼社長は、「シャープは、着々と8K+5G Ecosystemの構築に向けた取り組みを進めているが、直近では、国内外の競合他社も、テレビだけでなく、8Kや5Gを活用した新製品の提案を積極的に展開しており、8K+5Gの競争は、いよいよ次のステージへと動き始めたといえる。新たな8K+5G関連機器の創出を一層加速することはもとより、これまで他社に先駆け開発してきた製品や技術を強みに、One SHARPによって、当社ならではの新たな8K+5Gソリューションを早期に構築し、この競争を勝ち抜こう」と語った。
続いて触れたのが、グローバル事業の取り組みである。ここでは、タイのテレビメーカーであるHiFi Orientの株式を80%取得して、子会社化することに触れた。
HiFi Orientはタイにおいて、「ACONATIC(アコナティック)」というブランドでテレビ事業を展開しているメーカーで、同国内における市場シェアはサムスン、LG、シャープに次いで4位。現地企業としては最大シェアを持つという。今回の買収によって、タイにおけるシャープの市場シェアは2位に浮上する。
戴会長兼社長は、「今後、タイでは、8K+5GやAIoTなど、最先端技術を搭載したプレミアムモデルをシャープブランドで展開し、その価値を高める一方、ACONATICブランドでは、現地に根差したメーカーの強みを生かし、ボリュームゾーンをターゲットとした商品展開により、市場シェアの拡大に取り組む。また、オペレーションの共通化や共同調達といった競争力強化の取り組みも進め、近い将来、タイにおけるシェアNo.1を実現したい」と意欲をみせた。
さらに、戴会長兼社長は、「シャープがグローバル事業拡大のスピードを一層加速していくためには、商品カテゴリーやラインアップの拡充、顧客や販路の拡大といったこれまでの取り組みに加え、今回のような現地メーカーの買収による2ndブランドの展開など、より大胆な打ち手に挑戦していくことが重要である。さらに、代理店やOEM/ODMの活用など、『借力使力』による市場開拓にも徹底して取り組む。次の3カ年では、こうした取り組みを積極的に展開し、さらなる事業拡大を実現しよう」と語り、積極的な投資や体制強化を進める姿勢をみせた。
最後に触れたテーマが、「SHARP COCORO LIFE」である。SHARP COCORO LIFEは、2019年10月に設立した子会社で、AIoT技術を生かした特徴的な商品や、「COCORO+」などのサービスを提供。スマートライフの実現を目指している。
戴会長兼社長は、「SHARP COCORO LIFEは、大きな目標である1000万会員の獲得に向けた取り組みを進めてきたが、今後はウェブサイトのCOCORO STOREのリニューアルや、8K120型液晶モニターの発売記念イベントなど、さまざまPRイベントを実施し、会員ビジネスの展開をより一層加速していく」とした。
また台湾でも、オンラインビジネスを担う新会社「COCORO Life可購樂股份有限公司」を2月末に設立し、3月から事業を開始することや、中国でも早期に事業を開始する準備を進めていること、将来はASEANでも事業化も視野に入れていることに言及した。
「インターネットを介してお客様と直接の接点を持ち、密なコミュニケーションを重ねていくことは、シャープのブランド力向上を図るうえで極めて重要である。今後は矢継ぎ早に新たな施策を展開し、新規会員の獲得を進め、会員ビジネスの基盤構築を急ぎたい」と語った。
メッセージの最後に戴会長兼社長は、「足元の事業環境は新型コロナウイルスの影響によって非常に厳しい状況にあるが、まずは社員の皆さんの健康が第一である。中国出張の自粛はもとより、テレビ会議の積極活用など、感染予防策を徹底し、一人ひとりがしっかりと健康管理に努めてほしい。その上で、残り1カ月、少しでもこの影響を打ち返すべく、全社一丸となって頑張ろう」と呼びかけた。
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