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GAFAとは「遠くない未来に“同じ土俵”で戦える」--LINE出澤社長が語る経営統合への思い

藤井涼 (編集部) 山川晶之 (編集部) 鈴木光平2020年02月12日 08時00分
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 2019年11月にヤフー親会社のZホールディングス(以下、ZHD)との経営統合を発表したLINE。今後の戦略などについては、その多くがベールに包まれており次の一手に注目が集まっている。また、2019年4月にLINEの生みの親とも言われる慎(シン)ジュンホ氏が代表取締役となり、2大代表となったことも昨年の大きなニュースの1つだ。

LINE代表取締役の出澤剛氏
LINE代表取締役の出澤剛氏

 2019年の振り返りと、経営統合が完了する2020年の展望ついて、LINE代表取締役である出澤剛氏に聞いた。

「今が最後のタイミング」

——2019年はなんといってもヤフーとの経営統合が注目を集めましたが、改めてその背景について教えて下さい。

 年々、外資企業との競争が激しくなっていく中で、日本の会社がグローバルな戦いで生き残れるかは時間との戦いになっています。例えば金融サービスはドメスティックな側面が強いため、日本市場に参入してくることはないと思われていましたが、2019年ごろからそんなこともなくなってきました。

 日本市場というスコープで語れるのは、今が最後のタイミングだと思います。次の時代を生き残るには大きな仕掛けをしなければいけませんし、そのためには適切なパートナーと組まなければいけません。以前からそのような議論を繰り返してきました。そういった意味では最高のパートナーと組めたと思いますし、これから世界を見て勝負していくには大きなチャンスだと思っています。

Zホールディングス代表取締役社長の川邊健太郎氏と握手する出澤氏(2019年11月撮影)
Zホールディングス代表取締役社長の川邊健太郎氏と握手する出澤氏(2019年11月撮影)

——経営統合の記者会見では、米国のGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)や中国のBAT(Baidu、Alibaba、Tencent)といった、海外のテックジャイアントとの大きな差を数字で表していました。正面からは勝ち目がなさそうですが、今後どのように戦っていくのでしょうか。

 海外勢との差が10倍、100倍あるからといって絶望しているわけではありません。今回の統合だけでもお互いの親会社まで含めて考えれば、様々な可能性が見えてきます。これまでよりも一層クリアな戦略が立てられるので、そう遠くない未来に同じ土俵で戦えると思っています。ですので、そこまで悲観的ではありません。

 「1+1」という考え方ではなく、私達を軸に新たなパートナーとともに世界を目指していきたいと思っていますし、去年はそのスタートラインに立てたはずです。本気で日本からアジア、世界を狙っていきますし、それくらいの気概がなければグローバルな戦いを生き残れないという切迫感もあります。

経営統合の会見では、海外のテックジャイアントとの「大きな差」を強調していた。(2019年11月撮影)
経営統合の会見では、海外のテックジャイアントとの「大きな差」を強調していた(2019年11月撮影)

——ただ、やはりLINE単独でもう少し頑張って欲しかったという声もあると思います。また、2019年はZOZOもソフトバンクグループの傘下になりました。今後も日本のインターネット企業はソフトバンクグループに集約されていくのではないかと感じている人もいそうですが、日本の起業家などへの影響はどう考えてますか。

 今はゲームのルールが変わってきているので、国内の市場で争って一喜一憂しているうちに海外勢に各個撃破されてしまう事態にもなりかねません。グローバルでの勝負を真剣に考えるなら、協業できるパートナーを見つけることは必要な戦略になっていくと思います。

 私たちはZHDをパートナーに選びましたが、現実的にすべてのスタートアップがZHD入りするとは考えにくいです。イノベーションが必ずしも大企業から出るわけではないと思うので、これからも様々な協業が生まれるのではないでしょうか。私達やZOZOの出来事によって、みなさんがパートナー探しについて考えるきっかけになったのではないかと思います。

LINEの「トロイカ体制」は当面変わらない

——LINEは2019年4月に慎ジュンホ氏との2大代表制を発表しましたが、どのような意図があったのでしょうか。

 2つ意味がありまして、1つは社内に対するメッセージです。LINEは現在8000人を超える大所帯になりました。その中で自分たちのあり方をまとめた「LINE STYLE」を作るなどして、社内への価値観の共有を図っています。

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 しかし、もっとLINEの成り立ちや根本的な価値観を浸透させるためには、LINEの生みの親である慎の力が必要だったのです。LINEは慎の強いリーダーシップとサービスへの強い思いで成長してきた組織なので、彼を前に出すことでLINEらしい価値観を社内に浸透できればと思っています。

 もうひとつは、LINEが最も大事にしている「WOW」、つまり驚きや感動を生み出すことです。上場して様々なステークホルダーが増えたことで、ビジネスに対する要求も増えてきました。放っておけばその圧力によって合理的な選択ばかりしてしまいますが、私達の仕事はリスクをとってでもWOWを作っていくことです。

 そして、慎と彼のチームほど、「WOW」にこだわっているチームはありません。彼自身はシャイであまり前に出たがりませんが、肩書きをCWO(Chief WOW Officer)にすることで単なるサービスの改善に終わらず、非連続的な成長を描きたいと思っています。

——LINEの二大代表制は森川亮氏以来ですが、その時との違いについて教えて下さい。(注:LINEは2014年にも、当時の代表取締役社長CEOだった森川亮氏と、代表取締役COOの出澤氏による2トップ体制にしたことがあり、2015年3月下旬をもって森川氏は退任。その後、出澤氏が社長となった)。

 難しい質問ですね(笑)。体制としては森川がいたときと似ていますが、実はその背景は全く異なるので単純には比較できないですね。当時は手を動かす3人とスーパーバイザーという体制だったので、一見すると似ていますが、その中身は全然違います。

キャプション

 今回は見え方としては二大代表制に見えますが、(取締役の)舛田を含めたトロイカ体制は当面変わりません。慎を代表にしたのは、WOWを作っていくことを強調するためなので、役職は変わっても3人の関係性は今まで通りです。

手応えを感じた「LINE Pay」と「AIレコメンド」

——ちょうど1年前のインタビューで、「2019年は仕込みが花開く年にする」とお話されていましたが、振り返ってみていかがでしたか。

 まだ仕込みはしつつも、少しずつ芽も出てきました。ビビットな変化ではありませんが、グラデーション的な進化を遂げていると思います。爆発的なイノベーションにするにはまだ仕込みが必要ですが、それぞれの領域で投資してきたサービスが形になりつつあります。

 例えばAI領域でいうと、AIアシスタントのClovaも成長していますし、BtoB向けの 「LINE BRAIN」も展開できるほど技術的な進化がありました。会話に関しては聞き取りも発話も驚くほど精度が上がっています。それを活用した自動電話対応サービス「AIコール」の実証実験も開始し、これからが非常に楽しみな展開になっています。

 また、引き続き投資段階の事業もある一方で、FinTechサービスのようにリリースして一定の評価を得ている事業もあります。

——「仕込みを終えた」と思えるようなサービスもあると。

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