沖縄県を訪れる観光客は年々増加しているといい、2018年度には1000万人に達している。その観光客の多くが空港到着後に利用する二次交通は、レンタカーだ。
那覇空港における二次交通の利用率は、日本人はレンタカー利用が47%と最も高い。訪日外国人旅行客も、モノレール(ゆいレール)とレンタカーの利用率が同等レベルと、こちらもレンタカーの利用率が高い状態となっている。これにより、2018年度の統計では、レンタカー登録台数が4万台を突破しており、2011年度の約2倍に増加している。沖縄観光コンベンションビューロー 会長の下地芳郎氏は、「県内各地に人気観光地が形成されて観光客が分散し、小廻りの効くレンタカーが使われやすい」との分析を示した。
県民の自動車利用率も高い。県内における自動車の保有台数は、2018年度の調査では約114万台。同年度の人口が約145万人の沖縄県では、約1.3人に1台と、非常に高い保有率となっている。レンタカー台数増加とあわせ、那覇市などの沖縄市街地では、交通渋滞が首都圏とほぼ同レベルにまで悪化しているほか、交通事故も増加しているという。
一方、公共交通機関については、ゆいレールの利用者は年々増加しているものの、同線のルートは沖縄本島南部の那覇市と浦添市に留まる。そのため、沖縄本島中北部のうるま市や名護市などでは、公共交通機関は専ら道路交通となる。
しかしながら、路線バスは系統が複雑などの問題により、利用率は低い水準に留まっている。たとえば、那覇空港における二次交通の割合では、日本人観光客の空港直行バス利用率は1%、一般路線バスも2%だ。県民からも利用しづらいとの声が上がっているといい、こちらも利用率は低い。
また、タクシーについては、県内に電車が無い、初乗り運賃が全国平均よりも安い、などの理由により、平均利用回数は好調だという。一方で、県内の事業者では運転手不足のため、4台に1台が稼働していないことが問題になっている。
今回の実証実験では、地域情報の発信による周遊率向上に加え、ゆいレールやタクシーとの連携、路線バスを含めたルート案内により、公共交通機関の利用率増加を目指す。また、タクシーの配車サービスを提供することで、タクシーの効率的な運用に繋げる。下地氏は、「(那覇空港における)二次交通の整備と、県内の公共交通機関利用拡大は、極めて大きなテーマ」とし、今回の実証実験に対する期待を見せた。
KDDI 経営戦略本部 次世代基盤整備室長の前田大輔氏は、今回の実証実験は3月末で終了し、「改良や機能の拡張、参画企業といった次のステップに努めたい」と説明。今回は日本語のみに限られる言語のマルチ化や、バスも含めた乗車券提供など、さらなるサービス提供に繋げる意志を示した。
取材協力:KDDI
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