技術的にはGoogle ChromeとMicrosoftのnew Edgeは兄弟だが、それでこの2つがまったく同じということにはならない。むしろ、かなり異なっている。
new EdgeとGoogle Chromeとの最も重要な違いは、Googleのビジネスモデルの根幹にかかわるものだ。new Edgeは初期設定でトラッキングが無効になっている。多くの広告とほとんどのサードパーティーのトラッキングコードをブロックする「バランス」という設定だ。
数カ月前にこの機能を試した際、ブロックされるページの4つに1つはGoogleのものだった。最終版でもその比率は変わらない。「追跡防止」を初期設定のままにしてnew Edgeを数時間使ったところ、70社からの772件のトラッカーをブロックし、そのうちの210件がGoogleからのものだった。AdobeやFacebookを含むトップ10が全体の半数を占めた。
追跡防止の設定を「厳重」にすると、サードパーティー製拡張機能に相当する機能を発揮する広告ブロッカーがインストールされる。
拡張機能といえば、new Edge向けのネイティブな拡張機能は、Microsoftからも300件以上を直接入手できる。Microsoftのストアにない必須の拡張機能を入手したければ、Chrome Web Storeから直接インストールする手もあるし、他のChromiumベースのリポジトリも利用できる。私が試した範囲では、そうした代替拡張機能も問題なく機能した。
Chromeと違うもう1つの特徴は、new Edgeで同期設定に使うのがMicrosoftアカウントである点だ。設定、お気に入り、パスワード、連絡先を同期できる。履歴、開いたタブ、拡張機能もオプションで同期でき、将来のアップデートでウェブ上の情報をまとめておくための「Collections」という機能も追加される予定だ。
Microsoftの主要な支持者である企業顧客向けの機能もある。企業顧客は、「Internet Explorer(IE)」で稼働する古いプログラムに多額の投資をしている。IT管理者向けのこの機能は「IEモード」という。
IEモードはWindowsでしか稼働しない。IT管理者は、IEを必要とするサイトのリストを定義することで、(IE 11の)「Trident MSHTML」エンジンを使ってnew Edge内でそれらのサイトを開けるようにすることができる。この機能は、一般ユーザーや中小企業ユーザーからは隠されている。
ユーザーのnew Edgeへの移行に際し、Microsoftはユーザーが使っている既存のブラウザの設定を変えるようなことはしないと言う。旧版Edgeのコンポーネントを必要とする企業顧客はアップデートを完全にブロックすることができるし、主要ブラウザをEdge以外に設定しているユーザーはnew Edgeインストール後もそのブラウザを主要ブラウザとして使える。
Microsoftのブラウザをメインで使いたいが互換性の問題で旧版Edgeを避けてきたWindows 10ユーザーは、間違いなくnew Edgeを試してみたいだろう。その点で太刀打ちできるのはGoogleだ。「Gmail」や「YouTube」などのサービスの力でライバルに干渉できる。
Googleがそうした反競争的な動きで独禁法当局の注意を引くようなリスクを冒すかどうかは大きな疑問だ。だが、第1次ブラウザ戦争でわれわれが目にしたように、地位を確立した市場のリーダーはその支配的な地位を脅かされる時、そうした行動に走るものだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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