――車内のエンタメと考えるとすごく良いタイミングで360 Reality Audioが提案されています。今はヘッドホンやスピーカーでの展示だけですが、考えるとクルマのような空間のイマーシブはすごくありうる。
車室は、360 Reality Audioにとって理想的な空間だと思います。ソニーはハイレゾという高音質をやってきましたが、これからは空間価値も提供したい。今回のCESでは、“空間価値”もキーワードの1つですね。
3Dで空間を取り込む、実写立体動画「ボリュメトリックキャプチャー」技術や、360 Reality Audioもまさにそうです。音も映像も、画質とか音質に加えて音場や3D空間への拡張が重要になる。そういった“空間価値”が付加されていくと思います。
――空間というのはすごく大事ですね。このインタビューしている部屋だってリアル空間ですし、クルマの空間もある。その中での要素は音と光です。もっというと空気の振動と光の質。それはソニーの得意分野だと思いますね。
最終的に人は時間と空間の中で生きているよね、とよく言うのですが、ということは、ソニーは時間価値と空間価値を高めていく技術をますます磨いていくべきだと。AIにしてもレイトレーシングにしても全部その手段と位置づけています。
――面白いのは、LGエレクトロニクスやサムスン電子をプレス・カンファレンスで見ていると、彼らにとってはまさにAIが主役です。AIだからどうするかみたいな感じが、ものすごくあります。ソニーも確かにAIなどが登場してきますが、何かをやるための道具というところが、違うと思いました。彼らは、AI、IoT、ロボティクスといったバズワードがすごく好きです。ただその言葉の下に人間がいるような感じがします。ソニーは人間が先に立っている感じがします。
AI自体は外せないと思うんですが、AIのアルゴリズムもコンピューティングパワーも、もはやコモディティだと思っています。むしろどういう仮説をおいて、どういうレベルのデータがとれるかが勝負です。昔話でいうと、トランジスタを作ったのはベル研究所ですけど、トランジスタラジオを作ったのはソニーだと(笑)。だからAIで何をするかが大事なんですね。
――何をするかというときにソニーが持っているものが、うまくはまるものがたくさんありますよね。アイボをはじめとして、オーディオだってどこかに入るかもしれない。目的意識をもって使うということだと思います。
画像認識領域のAIが今もっとも進んでいるんです。音声も進んでいます。それぞれにセンサーの強みを活かしていかなければならないと思っています。
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