11月の抗議集会では、解雇された従業員のうちの2人、Rebecca Rivers氏とLaurence Berland氏が、経営陣によるオープンカルチャー抑圧を糾弾して演説している。2人は、業務の範囲外の文書やカレンダー情報にアクセスしたとして休職処分を受けていた。
だが、この解雇に対する社内の反応を見ると、オープンカルチャーへの取り組みは既に冷めつつあるようだ。Googleのセキュリティチームは、今回の解雇に関する覚え書きのなかで、従業員にこう説明している。「Googleのオープンカルチャーとは、こういうものではないし、本来こう機能するものでもなかった」
ある意味で、今回の経営トップ交替は、歴史的でありながら大きい変化ではないとも言える。Page氏とBrin氏はかなり前から社内に姿を見せていないと、従業員も元従業員も話している。以前は2人とも、Google名物TGIFミーティングの中心だった。毎週、社内の全社員が集まる、Googleでも特に伝統的な会議だ。
だが、2人は2018年11月のストライキからほどなく、一線を退いてしまう。2019年に入ってからは、TGIFにも全く姿を見せておらず、5月末の1回が久々の登場だった。初期の時代を覚えている古参の従業員たちにとって、壇上のPage氏とBrin氏を見るのは、激しい憧れをかき立てられる思いだった。「みんな、昔と変わらずに2人を好きなんだ。2人は、Ben&Jerry’sの創業者たちのようだから」。TGIFに参加していたある従業員は、こう話している(注:Ben&Jerry'sは米国で昔から親しまれているアイスクリームブランドで、Googleのように、古くから友人関係にあった2人によって創業された)。
Googleの多くの従業員にとって、同社のオープンカルチャーが終焉に向かっていると感じられたのは、11月のことだった。Pichai氏が、TGIFミーティングを、毎週または隔週から月1回の開催に変更すると発表したときのことだ。同氏によると、会議の頻度を減らすのは、社内会議の内容をリークしようとする「組織的な動き」が見られたためだという。TGIFは、公開討論や意見交換の場ではなく、今後、もっと製品寄りになるということだ。
解雇された従業員の1人であるBerland氏は、11月の抗議集会でこう語った。「TGIFも完璧ではなかった。でも、少なくとも、質問をする機会はあった」
今後、Pichai氏はさらに変革を進めるかもしれない。「どのCEOも、自分がリードしてきた道に足跡を残したがるものだ。したがって、Pichai氏の役割が変わるなかで、どのような変革を進めていくのかに注目すべきだろう」。と、市場調査会社Creative Strategiesの社長Tim Bajarin氏は指摘している。だが、Googleの企業文化が短期間で大きく変わるとは考えていないという。
3日の発表より前には、共同創業者の2人がもっと積極的に関わる立場に戻ってくると期待している従業員もいた。同社に対して声を上げた従業員への「報復の文化」に抗議する集会が5月に開かれたとき、Google従業員が、この問題への介入を求めたのは、Pichai氏ではなくPage氏だった。「このストライキの要求に速やかに、かつ公式に対応し、その要求に応じるよう、Googleに再び約束させる」ことを要求したのである。
経営トップの交替は、Page氏とBrin氏の日常的な不在が固定化することを意味する。
「ずいぶん前から、とっくにこうだったような気がする」。交替が発表された3日、報復を恐れて匿名を希望した、ある従業員がこう話してくれた。「それが公式になっただけの話だ」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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