この10年で「移動の概念」を変えた9つの技術革新--テスラからトランプ政権まで - (page 2)

Andrew Krok (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2019年12月02日 07時30分

 もちろん、タクシー業界への影響は明らかに大きい。空港もその他の企業も、こうした配車サービスの車両専用の場所を設けるようになったほどだ。配車サービスの利用はコスト効率が高いことを考えると、タクシーの営業免許証やレンタカーのコストなどに対する影響は、深刻で、長期的なものだっただろう。

 コスト効率というこの売りは、モビリティ文化にもうひとつ大きい変化をもたらしている。Uberや類似のサービスに、自分の車でドライバーとして登録し、小金を稼ごうという人が増えた結果、そのことが労働に関する興味深い議論を呼んだのだ。そうしたドライバーは請負契約のため、従業員と同等の福利や保護は受けられない。このねじれの問題はまだ解決途中だが、このような企業がドライバーを必要とするニーズと、ドライバー側が経済的安定を求める集合的なニーズとの最終的な決着に向けたきっかけとなった。

 Uberは労働問題の解消を視野に入れているが、それは同社の現状を破壊するものでもある。Uberは過去数年にわたって自動運転車の研究を進めており、契約している人間のドライバーを、いずれは自動運転車に置き換えようと考えている。そうなれば、福利や生活賃金といった問題について悩まされることもなくなる。

3. Waymo

Waymoの自動運転車
提供:Waymo

 自動運転ということなら、Waymoも今回のリストにふさわしい。商用自動運転車(AV)の開発ではリーダーとしての実績があり、人でも貨物でも、あらゆるもの輸送する未来に向け、ビジネスプランもすでにできあがりつつあるからだ。

 Googleから分社化した同社は、自動車業界のベテランJohn Krafcik氏に率いられて、AV開発の最先端に躍り出た。以来、現実世界でもシミュレーション環境でも、驚異的な走行距離を記録している。それどころか、同社の半自動運転ミニバンを利用する商用配車サービス「Waymo One」を発表し、ほとんどの競合他社の機先を制した。現在はまだアリゾナ州フェニックスで導入されているだけだが、Waymoのサービスが成長すればするほど、同社のこの分野における取り組みも進化していくのだ。

4. LiDAR(ライダー)企業

LiDAR
提供:Aurora

 自動運転の開発でWaymoとUberが注力しているのは確かだが、サプライチェーンの別の工程を見れば、称賛にふさわしい他の企業も多い。LiDAR(ライダー)を扱う企業も、その一例だ。

 VelodyneやValeoといった企業は、反射光を利用して周辺環境の3次元マップを作成する光学センサーの開発に注力してきた。この技術により、カメラまたは電波(レーダー)だけで達成できるよりずっと明瞭な画像を作り出せる。これらのセンサーをすべて融合して、大量のデータを短時間ではじき出せるくらい強力なコンピューターを用意すれば、自動運転機能の完成だ。LiDARがAVに不可欠と考える企業ばかりではないが、大半はそう考えているので、その目標のためなら各サプライヤーとも喜んで技術革新に関与しようとするだろう。

 ただし、LiDARは最先端の技術であるため、価格面の問題があった。それも、2010年代の終わりには変わりつつあるようで、よりシンプルで強力なセンサーを、ずっと手頃な価格で製造できるようになっている。サプライヤーが、業績にふさわしい名誉を受けることは少ないが、この場合、LiDARメーカーが自動運転車の未来に向けて社会の進歩に貢献していることは、間違いない。

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