「iPhone」は2007年に革命を起こし、その勢いは、のちの10年間にわたって増し続けた。自動車業界はトレンドに対応するのが必ずしも速いわけではない。流行のコンシューマーテクノロジーに関しては、特にそうだ。だが、この10年間、スマートフォンは私たちが自動車を操作する方法(そして、自動車の購入を検討する方法まで)を根底から変えてきた。
物理的なスイッチ装置がダッシュボードから姿を消しても、驚く人はいないはずだ。日々のさまざまな操作を、タッチ操作に対応したスマートフォンで済ませる人が増えたため、自動車メーカーはスマートフォンを真似た車載システムを開発するようになった。しかし、それでも十分ではない。「Android Auto」や「Apple CarPlay」といったスマートフォンにそっくりのシステムが普及したことで、現在では多くのドライバーが、自分のスマートフォンのOSを車内に持ち込み、慣れ親しんだ操作性と利便性を享受できる自動車でなければ、買わないようになっている。
車内のデジタル化への注目が高まったことで、ほかにも車内の体験へのアプローチが変化している。自動車は現在、本格的にIoT(モノのインターネット)の仲間入りを果たしており、メーカーは大手企業との統合を含むシステムを展開している。近頃では、人々が自分のための時間を見つけるのが難しくなっており、自動車に自宅の照明を点けるよう頼むという単純なことでも、喉から手が出るほど欲しい少しの空き時間を確保するのに役立つかもしれない。
OTA(無線)アップデートなど、デジタル化の一部の側面は新しすぎて2010年代には大きな影響を及ぼしていないが、2020年代が近づいた今も、こうした変化が止まる兆候はない。
正確に言うと、このリストのすべてのグループが肯定的な理由で選出されたわけではない。例えば、Volkswagen Groupはディーゼル車について、規制検査をすり抜けるため、テスト環境では法的制限を超える汚染物質を排出しないように、こっそりプログラムしていた(それ以外の環境では実際に規定値を超えて排出していた)。この企業の不正行為は間違いなく重大なものであり、同社は米国だけで何百億ドルもの罰金を科せられただけでなく、大気質の悪化により、特に人口の密集した都市部で、多くの人々の健康を害した可能性もある。
だが、この重大な不祥事は、米国と欧州のモビリティ文化にいくつかの大きな変化をもたらした。各国はディーゼル車を大幅に減らす取り組みを進めており、販売されているディーゼル車には、排出ガスを浄化するさまざまな種類のテクノロジーが満載されるようになった。ディーゼル車のラインアップの縮小や完全廃止を選ぶ自動車メーカーも出てきている。
ディーゼル車に取って代わるのは、それよりもはるかにクリーンなもの、つまり電気自動車だ。米国でのディーゼル不祥事を受けて、Volkswagen Groupは電気自動車の普及を促進する会社の設立を要求された。以来、その新会社であるElectrify Americaは全米で多数の充電ステーションの設置を開始し、電気自動車が普及したときに備えて、インフラを提供している。
世紀の皮肉とも言える展開で、Volkswagen Groupはディーゼル不祥事の打撃から立ち直り、電気自動車業界のリーダーの1社となった。
聖書に書かれている疫病かのように、膨大な数の電動キックスクーターがどこからともなく出現した。多くのスクーターが歩道を走行している。規制によって、車道での走行が定められている場合でもだ。多数の競合サービスが極めて短期間に登場したため、多くの都市はスクーターに侵略されたように感じており、地方自治体は具体的な規制方法を検討している。
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