「数字で考える、というだけでも面倒くさいと思うのに、「数学」なんて字面を見るだけで頭が痛くなる」のは何を隠そう筆者だが、本書の登場人物像になるくらいなので、世の中にはそのような人が多いのだろう。本書は、2013年に刊行された本を文庫化したものだが、その必要性はますます高まっているように感じられる。
数字に強いコンサルタントである主人公の柴崎智香と、数字に弱いがアパレル会社営業部のエースの木村斗真を中心として繰り広げられるオフィスストーリーは、とても読みやすい。2人(とオフィスの仲間たち)の会話を楽しんで読み進めているうちに、なんとなく自分も数字を使って語り出しそうになるから不思議だ。ビジネスに必要な数字の意味と分析方法、数字の活かし方などを、順を追って学べるので、無理なく理解できるのだ。
「なんとなく」という感覚だけではビジネスは成り立たないことは、十分分かってはいるが、ではどのような数字をどのように使っていけばいいのかまったく分からない、という人の入門書として最適だ。文庫化で手軽になり、Kindle版もあるので、サッと手軽に読める。読んだ直後から、会議や報告書に、その成果が表れることは明らかだ。
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