その島も、ロボットの闘技場も、ゲーム内のクリエイティブツールだけを使用して構築されたものだが、最後に試したデモはそうではなかった。それは、FacebookがHorizonに組み込んだゲームだった。空中戦を展開する小型飛行機のスポーツゲームで、お金を払ってもいいと思うほとんどのVRゲームと同じくらい楽しかった。飛行機を手に取り、おもちゃのように操縦して、下降させたり、上昇させたりする。飛行機は巨大なアリーナの中を飛行して、トンネルをくぐったりミサイルなどのパワーアップアイテムを入手したりできる。ここでは2対2のゲームをプレイしようとしており、筆者がチームメイトに旗で合図し、チームメイトは相手のチームに撃たれる前に輪の中をくぐり抜ける。
Horizonはさまざまな世界で構成されており、それらの世界間を瞬時に移動できるようになっているようだ。ユーザーはその世界を作って公開したり、非公開で使用したりすることが可能だ。だが、筆者が目にした視覚的なデザインは任天堂のような感じで、「Wii Sports Resort」やNintendo Landを思い出させる。楽しく、面白いものではあるが、筆者は常にそうしたデザインを望んでいるわけではない。とはいえ、これはベータ版なので、将来的にほかの視覚的なスタイルが登場する可能性もある。
筆者が懸念するのは、Facebookのバーチャルな未来の全体的な外観が、こうしたPixar/Disney風のものになってしまうことだ。「このデモでは、どこまでが実現可能なのかをお見せできたかと思う」。そう語るのは、FacebookのAR/VRコンテンツマーケティング部門を統括するMeghan Fitzgerald氏だ。「ベータ期間中に、皆さんが与えられたツールを使って何をするのかを確認したい。それからさまざまな変更を加えていく」(同氏)
FacebookのAR/VR体験担当ディレクターのEric Romo氏は、次のように話してくれた。「ユーザーの生成するコンテンツ、つまり人々が構築する世界が拡大するにつれて、われわれが直接構築したコンテンツと、クリエーターによって構築されたコンテンツとのバランスが大きく変わってくると想像してもらえればいい。今後体験するスタイルや外観は、ほかのクリエーターが構築するものの影響を受けることになるだろう」
Facebookは、衝撃的なほどリアルなバーチャルアバターで進化を遂げているにもかかわらず、Horizonは単純化されて簡素な漫画のようになったキャラクターを採用し、真逆の方向に進んでいる。簡素化された、任天堂のキャラクター風の外観は意図的なものであり、人間に似せすぎると不気味さを感じてしまうという、不気味の谷現象を避けることが狙いだ。Romo氏は、「どこか少しでも間違ってしまえば体験が台無しになってしまうので、あまりにもリアルに見せることはできない。だが、人々を喜ばせられる程度にはリアルに見せたい」と話す。そうした直感は理解できるが、短時間のデモ中に選べるいくつかの基本的なキャラクターは、Oculus VRの既存のアバター作成キットで利用できる種々雑多なタイプとはかけ離れているように思える。うまく使われているのであれば、筆者はある程度の不気味の谷現象は問題ないと思う。
Facebookが最も注目しているのは、Horizonで集団行動とモデレーションがどのように機能するのかをテストすることだ。筆者のバーチャルな左腕には小さなダッシュボードがあり、それを回すと青い盾が表示される。タップすると世界が停止し、一緒にいるユーザーを報告したり、ブロックしたりできる。これは、Horizonの安全ツールとして設計されている。実際の状況でどの程度効果を発揮するのかは、今後明らかになるだろう。
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