そうです。そして、幸いなことにOYOには供給過剰でサービスを提供しなければ生き残れないホテルの運営で培ってきたIT、接客のノウハウがあります。これを賃貸不動産に適応させ、賃貸のバリューアップを目指します。
宿泊のオンライン予約サービスであるブッキングドットコムは、急成長を遂げていますが、その理由の一つはキャンセルができる点です。通常宿泊予約をキャンセルするとキャンセル料が発生しますが、ブッキングドットコムでは、キャンセル無料というケースが多い。宿泊施設側にとっては、あまり歓迎すべきサービスではないのですが、顧客が求めるサービスを提供しているため、多くの送客を実現しています。
ブッキングドットコムはお客様を徹底的に甘やかすことで、ユーザーを拡大し、多くの送客に結びつけました。これから供給過剰になるであろう日本における賃貸経営もお客様が主役になって、お客様が求めるサービスを提供することが必要な段階にきていると思います。
宿泊予約と賃貸事業は似ています。供給のほとんどを個人オーナーが所有しており、在庫管理がされていない市場はプラットフォーム化することで効率を大きく向上できます。さらに供給過剰マーケットはネットとの相性が良い。宿泊予約ではブッキングドットコムがこの部分を担いましたが、賃貸ではOYOがこの部分を構築できるかもしれないと思っています。
――ユーザーターゲットはどのあたりと見ていますか。今、話題のアドレスホッパーのような方のイメージを持つかもしれませんが、そうではなくて、OYOのサービスをいいと感じてくれる人すべてがターゲットです。先程申し上げた、良いロケーション、快適な居住体験、リーズナブルな価格の3つは、人が家に求める原理原則だと思っています。これは10年経っても変わらないでしょうし、万国共通でしょう。
例えば、駅に近い清潔な東京23区内の物件が10万円以内であれば、借り手は必ず現れますよね。ターゲットはあまり関係ない。OYOが目指すのは、バックパッカーでもセレブでもすべての人が、住みたい家を見つけられる仕組みです。ですから、ターゲットは定めていません。唯一ターゲットとしてあるのはインターネットを使う人ということです。
――家具家電付きの賃貸物件はマンスリーマンションなどが先行していますが、違いは。OYOのビジネスモデルはそもそも新しいものではなく、以前からあるマンスリーマンションと同じです。違うのは、圧倒的に簡単な契約、購買体験、手間がいらない引越し体験、初期費用の負担がない定額賃料です。OYOでは、スマートフォン1つで物件を探し、スーツケース1つで入居ができます。さらに、OYO PASSPORTという家事代行サービスやカーシェアリングなどのサブスクリプションサービスを用意しました。OYO PASSPORTを使って、私たちの利益をあげようとは思っていません。そのため、サービス利用料はすべてサービス会社にお支払いしています。OYOが目指すのは、あくまでお客さまのエンゲージメントをあげること。そこに特化しています。
将来的には、入居者のライフログを取れる仕組みもできればいいと思っています。匿名性を維持したまま、いつ電気をつけて、電子レンジを使うか、そうしたライフログが見えれば、家が新たなマーケットプレイスになります。
ただ、OYO PASSPORTを使って、私たちの利益をあげようとは思っていません。そのため、サービス利用料はすべてサービス会社にお支払いしています。OYOが目指すのは、あくまでお客さまのエンゲージメントをあげること。そこに特化しています。
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