シャープ、中経最終年度で"次”の成長シナリオを視野に--B2B/B2Gの割合引き上げへ - (page 3)

「グローバル事業拡大の勢いを一層加速したい」

 

 2つ目のテーマが、「グローバル事業拡大」である。戴会長兼社長は、「各地域で確固たる基盤を構築することも、次の中期経営計画に向けて、取り組むべきことのひとつ」と前置きし、「5月1日から5日間に渡って、シャープ 副社長執行役員の野村(勝明氏)や常務執行役員の橋本(仁宏氏)とともにベトナム、マレーシア、フィリピンを視察し、2019年度下期に稼働予定のベトナム新工場をはじめとした各工場の状況を、自らの目で確認し、事業拡大に向けた議論や市場調査などを行った。

 また、5月12日から5日間に渡り、マレーシアのペナンで開催された教育イベントであるFESTIVAL GURU MALAYSIA 2019に出展し、最終日にはマハティール首相がシャープブースを訪問した。また、EDUSPECと、マレーシアでの21世紀型教室の開発に関する覚書も締結した。

台北で展示会を開催。教育ソリューションなどを展示した
台北で展示会を開催。教育ソリューションなどを展示した

 さらに5月8日には、2019年後半以降に米国テレビ事業に再参入することを発表した。早期に事業を立ち上げ、シャープブランドを再構築すべく、現在、販売体制を整備するとともに各流通事業者との商談をスタートしている」と、海外での昨今の取り組みを紹介。「すべての事業で、再び、日本、ASEAN、中国、欧州、米州といったグローバルで戦える環境が整うことになる。かねてから目標としている海外売上高比率8割の実現を目指し、今後もグローバル事業拡大の勢いを一層加速したい」と述べた。

 ここでは、米中貿易摩擦の影響についても言及。「シャープの生産拠点における商品事業の全生産高のうち、中国から米国に輸出している製品の割合は、鴻海グループへの生産委託品を含めてもごくわずかであり、影響は軽微である。加えて、該当する製品については、すでに中国拠点からASEAN拠点への生産移管を検討するなど対策を講じている」とした。

 このほか「米中貿易摩擦によって規制対象となる中国メーカーからのシェア奪取や、コストアップとなる中国生産品に対する販売攻勢に加え、中国で生産している企業から、シャープのASEAN工場でのOEMビジネスを獲得するなど、今回の事業環境の変化は、新たなビジネスチャンスにつなげることができる。各事業本部においても、単にリスクに対応するだけでなく、新たな商機を貪欲に掴みにいってもらいたい」と、世界経済を巻き込む動きを、チャンスに捉える姿勢を徹底した。

 3つ目のテーマが、「2019年の夏季賞与」についてである。6月10日に支給される夏季賞与は、2018年度下期の業績に基づき支給するものとなる。

 戴会長兼社長は、「2018年度下期の業績は非常に厳しい結果となっており、信賞必罰のポリシーに沿って、賞与も厳しいものとならざるを得ない」としながらも、「しかし、下期は社員の皆さんの努力を上回る大きな事業環境の変化があった。2019年度上期こそは、社員のさらなる努力により、この難局を乗り越えることができると私は信じている」とし、「こうした期待を込め、賞与とは別に、当社の会員サイトで製品を購入する際に使用できる『COCORO MEMBERS』クーポンを、社員に支給する。6月10日~8月31日まで、新製品を含めた自社製品を特別価格で購入できる『令和元年応援セール』を活用してほしい」とし、社員に対する温情采配をみせた。

 最後に触れたのが、自らの進退である。「5月17日にシャープの新たな取締役候補者を発表した。私自身は鴻海精密工業の董事(非常勤取締役)を兼務する予定だが、6月25日の株主総会において承認が得られれば、2019年度も引き続きシャープの会長兼社長として、次の中期経営計画に向けた成長シナリオを練り上げるとともに、確かな土台を構築することに、1年間、全力をあげて取り組んでいく覚悟である」と宣言。

 「これまで控えていたメディア対応や対外イベントへの出席も積極的に行っており、6月10日から2日間に渡って開催される鴻海グループの投資家向け説明会にあわせて、6月11日に、日本のメディアやアナリストを対象とした事業方針説明会を開催する。これに限らず、今後もさまざまな場面でステークホルダーへの説明責任をしっかりと果たすとともに、『有言実現』を成し遂げていきたい。また、社内においても折に触れ、幹部や社員に、私の考えや会社の方針を説明したり、ともに議論する機会を設けていきたい」とした。

 まとめとして、戴会長兼社長は、「2019年度は、現中期経営計画の最終年度であり、次の100年に向けたトランスフォーメーションの総仕上げとなる1年。全員の力でこれをやり遂げ、次期中期経営計画による次のステージへと歩みを進めていこう」と呼びかけた。

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