シャープは5月9日、2019年3月期通期(2018年4月~2019年3月)の連結決算を発表した。米中貿易摩擦や大手顧客の需要変動などを受け、厳しい市況環境となったが、「量から質へ」の転換を進め、2018年3月期を上回る最終利益を確保した。
売上高は前年比1.1%減の2兆4000億円、営業利益は同6.6%減の841億円、経常利益は同22.7%減の690億円となったが、当期純利益は同5.7%増の742億円となった。シャープ 代表取締役 兼 副社長執行役員の野村勝明氏は「環境変化に先んじて収益力強化を進めたことで、厳しい市況環境ながら、前年度を上回る最終利益を確保できた」とコメントした。
セグメント別ではスマートホームとスマートビジネスソリューションが順調に推移したが、IoTエレクトロデバイスとアドバンスディスプレイシステムが全体を押し下げた。コストダウンやモデルミックスがプラスに働いたが、売価ダウンなどが響いたという。
野村氏は「エアコン、洗濯機のほか、冷蔵庫も好調に推移し、Dynabookを連結にした効果もあった。しかしカメラモジュールが前年を下回ったほか、中国におけるテレビ販売の抑制、スマートフォン向けパネルの売上減などがあり、IoTエレクトロデバイスとアドバンスディスプレイシステムは厳しい結果となった。なお、液晶テレビはアジア地域で販売を伸ばし、ディスプレイはPCやタブレット向けの中小型が売り上げを増加。注力する地域、領域での事業拡大は着実に進展している」と分析した。
2019年3月期第4四半期(2019年1~3月)の連結業績は、売上高が前年同期比5.1%増の6285億円、営業利益が同19.7%減の158億円、経常利益が同61.6%減の69億円、当期純利益が同24.9%減の111億円となり、10四半期連続となる最終黒字を確保した。
2020年3月期の通期業績については、売上高が前年比10.4%増の2兆6500億円、営業利益が同18.8%増の1000億円、経常利益が同37.7%の950億円、当期純利益が同7.8%増の800億円と予想する。
野村氏は「米中貿易摩擦や顧客の需要変動など厳しい事業環境が継続し、第1四半期は特に厳しいと思うが、8K+5G EcosystemとAIoTの最先端技術で、特長商品、サービスを創出するとともに、グローバルブランドの強化を図り、前年度を上回ると予想している」とコメント。続けて「さらなるコストダウンに取り組むとともに事業を展開する空間を広げ、収益力強化と事業拡大の両立を図る」とした。
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