シャープ戴会長兼社長が平成最後のメッセージ--「社員全員が力を合わせ、次の100年を創る」

 シャープの代表取締役会長兼社長の戴正呉氏が4月19日、社内イントラネットを通じて、「2019年度経営計画達成に向け、全社一丸となって取り組もう」と題した、社長メッセージを発信した。

2019年度経営計画は「開源節流」を意識

 戴会長兼社長は「2018年度の業績は現在集計中だが、『量から質への転換』への取り組みは、着実に進展する一方で、『構造改革ステージから事業拡大ステージへの転換』という点では、経済環境の影響もあり、期中に2度の売上高の下方修正を行うなど、決して満足がいく成果とは言えない。こうした反省を踏まえ、1月中旬から約3カ月にわたって、各事業本部長、BU責任者とともに、中期経営計画の見直しを含めた2019年度経営計画について徹底的に議論を重ねた」と報告。「今回の計画検討にあたって私は、『開源節流』を改めて意識した」と、基本的な考えを示した。

 戴会長兼社長によると、「開源節流」とは、「開源」は水源を開発すること、「節流」とは水の流れる量をしっかりと調節することを意味し、健全な財政を、川の流れに例えた言葉だという。

 「シャープの経営においても、グローバル事業拡大や新規事業の創出、M&Aおよび協業などによって売上げを伸ばす『開源』、製造原価の低減、総務経費の削減などのコストを抑える『節流』を両輪とした取り組みを、改めて強化していかなくてはならない」とした。

 そして「中期経営計画の最終年度である2019年度がスタートし、約半月が経過した。2019年度は、中期経営計画の総仕上げの1年であるとともに、次期中期経営計画に向けた新たな布石を打つ1年である。将来のさらなる成長に向け、社員全員の力を結集してがんばろう」と呼びかけた。

 続いて戴会長兼社長は、堺事業所内に8K+5G EcosystemやAIoTなどを展示した「堺ショールーム」を新設したことについて触れた。

 「シャープが今後、8Kや5G、AI、IoTなど、さまざまな分野で、業界の先頭に立って、新たな世界を切り拓いていくためには、さまざまなステークホルダーに、当社の事業ビジョンや高い技術力を積極的にアピールし、共感を得るとともに、双方が、Win-Winとなる関係を構築することが極めて重要である。こうした狙いのもと、堺事業所内に、8K+5G EcosystemやAIoTをはじめとした最先端技術や商品を集結した堺ショールームを開設した。私は、この堺ショールームを、グローバル事業拡大や新規事業創出の加速に向けたプレゼンテーションの場としてだけではなく、新たなアプリケーションやコンテンツの開発、機器間連携のテストなど、研究開発の場としても活用していきたいと考えている」と述べた。

 具体的な活用例についても紹介した。プレゼンテーションとしての活用では、3月25日に、中国山東省のきょう(漢字は龍に共)正省長、煙台市長、青島副市長、青島市に本拠を置く澳柯瑪集團の幹部など40人が訪問。4月5日には、中国の起業家向けアカデミー「承礼学院」の一行が訪れ、さらに、4月19日には四川省成都市の幹部が訪問。シャープの事業展開や技術について説明したという。

広東省の馬興瑞省長をはじめとする広東省の高官による視察の様子
広東省の馬興瑞省長をはじめとする広東省の高官による視察の様子

 また、研究開発の場としては、現時点ではまだ成果はないものの、「今後、各事業本部の皆さんとともに検討を進め、早急に具体化していきたい。現在、同様の考え方で、中国の深センにも、8K+5G Ecosystemに重点を置いた『8K研究院』を立ち上げる準備を進めている」と、今後は、拡充する姿勢であることを示した。

 一方、「8K+5G Ecosystem」については、4月9日に、東京・芝浦のシャープ東京ビルで開催した、新技術および製品の展示会をあげて説明した。

 同展示会は、堺ショールームの展示内容をもとに、8K LABや最先端のディスプレイ技術を加えた内容とし、「8K+5G Ecosystem」や「8K Theater」といった8K分野における「2年間の集大成」(戴会長兼社長)ともいえる展示や、「Advance Display Technology」や「AIoT」、「Business Solution」、「High Efficiency Solar」などの展示を行った。この展示会には、広東省の馬興瑞省長をはじめとした広東省高官、大学教授など、20人が見学したという。

8K+5G Ecosystemの展示
8K+5G Ecosystemの展示
展示会場の8K Theater
展示会場の8K Theater

 「展示会の見学後、産官学のより緊密な連携体制の構築に向けた議論を行い、馬省長からは、『拝見した技術やソリューションは今後間違いなく必要とされるものだ。今回の視察により、8Kや5Gの可能性の広がりを確信した』といった言葉をもらった。さらに、翌日にはメディア向け見学会を開催し、テレビや新聞記事、ウェブニュースにも数多く取り上げられた。その後も3日間にわたり、社員や取引先、アナリストなど、さまざまな関係者にも見学してもらった。見学後には、『8K市場の奥深さを確認することができた』、『ひとつひとつの技術力の高さがうかがえた』など、前向きな感想を多数もらった」とし、「短期間で大規模な展示を行うとともに、長時間にわたり、さまざまなステークホルダーへの対応を行ってくれた各事業本部の皆さんに、心から感謝する。今後も8K+5G EcosystemとAIoT Worldの1日も早い実現に向け、取り組みのスピードを一層加速していこう」とした。

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