配車サービスを展開するUberが3週間前に実施した新規株式公開(IPO)は低調な滑り出しとなった。同社は米国時間5月30日、第1四半期決算を発表したが、状況は当面改善しそうにないようだ。
2019会計年度第1四半期決算(3月31日締め)の総売上高は前年同期比20%増の30億9900万ドルだった。アナリストは30億8000万ドルと予想していた。また、「グロスブッキング」は前年同期比34%増となった。純損失は10億1000万ドル(1株あたり2.26ドル)だった。アナリストによる純損失の平均予測は1株あたり1.46ドルとなっていた。
数カ月前には世界で最も評価の高い非公開企業とされていたが、明暗入り混じる今回の業績はそのような見方とは大きく異なるようだ。30日の取引終了時点で、終値は39.80ドル、時価総額は669億ドルとなっている。IPO価格は45ドルとされていた。株式公開前の評価額は760億ドルで、最大1200億ドルになる可能性があるとされた当初の予想を大きく下回っていた。
プライベートエクイティ企業Patriarch OrganizationのCEOであるEric Schiffer氏は「ゴジラ級の規模を維持しているが、評価額が見合っておらず、成長の持続に苦戦している」と述べた。
Uberの明暗入り混じる業績は、競合するLyftにも悪い前兆となるかもしれない。Lyftは3月末に上場したが、株価は下落した。両社は米証券取引委員会(SEC)に提出した書類の中で、これまでに黒字を達成しておらず、今後も達成できない可能性があるとしていた。
Schiffer氏は、「現時点では不透明で、これらの企業が利益を生み出すことに期待をかけている状態だ」と述べている。「収益化するとしてもはるかに先の話となりそうだ」(Schiffer氏)
最高経営責任者(CEO)のDara Khosrowshahi氏は上場翌日、従業員宛に送付した電子メールの中で、重要なのは長期的な業績だと述べている。「どのような移行期間にも、浮き沈みはつきものだ」とし、「FacebookやAmazonがIPO後の取引で大いに苦戦していたこと、そしてその後にどれだけの業績を上げたかを思い出してほしい」と説明していた。
Uberが投資家の信頼を損ねる要因は収益性だけではないかもしれない。例えば、ドライバーは数年間の低賃金と長時間労働に不満の声をあげている。社内の動きも要因の1つかもしれない。Uberの「最初の従業員」であり、最初のCEOだったRyan Graves氏は今週、取締役を退任した。
Uberの可能性を楽観視する見方もある。Wedbushの証券アナリストYgal Arounian氏は28日付けの調査メモで、「Uber上場後の最初の数週間は、Uberの幹部と投資家が望んでいたストーリーのようにはならなかった」と述べしている。「(それでも)われわれは今後も、Uberは潜在的な世界市場規模が5兆7000億ドルほどの旅客輸送市場で機会をつかむ体制にあると考える」(Arounian氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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