「Googleアシスタント」やAmazonの「Alexa」のような音声作動式デジタルアシスタントのおかげで、ユーザーはいくつかの単語を発するだけで、お気に入りの楽曲の再生などの簡単なタスクを実行できるようになった。だが、ダウン症と先天性白内障を患っており、目が見えず、言葉も話せないGiovanni Caggioniさんのような人は、何らかの工夫をしない限り、こうしたツールを利用することができない。
21歳のGiovanniさんは音楽と映画が大好きだが、家族の「Google Home」デバイスや自分の「Android」スマートフォン上のGoogleアシスタントを自分で使うことはできない。「OK Google」コマンドを声で発して、音楽なり、映画なり、お気に入りのエンターテインメントを検索することができないからだ。
Giovanniさんの兄で、イタリアに拠点を置くGoogleの戦略的クラウドエンジニアのLorenzo Caggioni氏は、そうした状況を変えたいと考えた。弟がもっと自立できるように、Lorenzo氏とミラノのGoogleオフィスの数人の同僚は「Project Diva」を立ち上げ、声を使わずにGoogleアシスタントへの命令を生成する装置を作成した。これは、有線ヘッドホンジャックを使ってスマートフォンやノートPC、タブレットに差し込めるボタン型の装置で、Bluetooth経由で接続して、Google Homeデバイスにアクセスすることができる。
Lorenzo氏は、テクノロジーをうまく適応させれば、Google HomeがGiovanniさんにとって役立つツールになると考えていた。
Lorenzo氏は米CNETとのインタビューで、次のように語った。「自分のことを信じてくれる人々に支えられていれば、そして、自分の周りに適切な設備とツール、適切な環境があれば、弟は本当にどんな期待も上回ることができる」
Project Divaは、「Global Accessibility Awareness Day」に先立って、Googleが先頃の「Google I/O」カンファレンスで発表した3つの新しいプロジェクトの1つである。同社は数年前からアクセシビリティー問題に取り組んでおり、自社製品のアクセシビリティーを高めようと努めている。例えば、「Googleマップ」チームは、地元のガイドを利用して車椅子の人のためのスロープや入り口がある場所を探すプログラムを立ち上げた。2018年のGoogle I/Oでは、「Android」用アプリ「Lookout」が発表された。このアプリは、周囲にある物体や文字、人について音声で情報を伝えることで、視覚障害者を支援する。
大手テクノロジー企業の間で、自社の製品やサービスを障害のある人々にとってより利用しやすいものにすることが大きなトレンドになっている。Googleの取り組みもその1つだ。特にデジタルアシスタントは、すでにいくつかの取り組みの焦点となっている。2018年、Amazonはタッチスクリーン搭載スマートスピーカー「Echo Show」向けの「Tap to Alexa」機能を公開した。この機能は、聴覚障害のあるユーザーが画面をタップすることで、天気、ニュースの見出し、タイマーといった、よく使われるAlexa機能(カスタマイズ可能)のショートカットにアクセスできるようにするものだ。
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