テクノロジー業界に、Facebookを分割すべきだという新たな強い主張が登場した。
だが、それは人々が本当に求めていることではない。
彼らは「Mark Zuckerberg氏を罰しよう」と言うだろう。
人々は怒っている。私もだ。皆が怒っている。それにはもっともな理由がある。
Zuckerberg氏が最高経営責任者(CEO)を務めるFacebookは、テクノロジー業界であり得るあらゆる過ちを犯したといえる。2016年の米大統領選へのロシアの介入を阻止できなかっただけでなく、Zuckerberg氏はわれわれと、(当時の)大統領、Barak Obama氏の懸念を傲慢に否定した。同氏は1年後には謝罪したが、それまではそのような懸念は「非常にばかげた考えだ」と言ったのだ。
Facebookは、アプリ開発者が数千万人分の個人データにアクセスした際、ユーザーのプライバシーを守らなかった。この件は1年後に、「Cambridge Analyticaスキャンダル」として知られることとなった。2019年3月には、ニュージーランドの2つのモスクでの銃乱射を犯人が17分間にわたって実況中継するのを阻止できず、その録画はいまだにインターネット上に拡散している。
また、2017年には、ミャンマー軍によるFacebook上での宣伝キャンペーンを止めなかったという、見事な失敗をしでかした。国際連合の調査団によると、Facebookに投稿されたすべての憎悪に満ちた投稿や画像は、同国の少数派であるイスラム教徒の大虐殺で「決定的な役割」を果たしたという。つまり、Facebookのサービスがジェノサイドで大きな役割を果たし、同社はそれを止めるための十分な措置を講じなかったということだ。
Facebookを分割すべきだという意見が急増するのも無理はない。率直に言って、これまでそうした意見がなかった方がおかしいと思う。
Facebookの共同創業者でハーバード大学の寮でZuckerberg氏のルームメイトだったChris Hughes氏は5月9日、The New York Times(NYT)の論説記事で、「米国は伝統的に、企業による独占を抑制してきた。企業のトップがどれほど善意ある人物であろうと関係ない」と述べた。政治家もHughes氏に同調した。民主党上院議員で大統領選に立候補しているElizabeth Warren氏(マサチューセッツ州選出)はHues氏の論説記事を受け、Twitterで「#BreakUpBigTech(テクノロジー系大企業分割)の時が来た」とツイートした。
だが、Facebookを分割することで何かが解決するわけではない。
たとえFacebookと、同社の他のSNSであるInstagramとWhatsAppを分割しても、同社は依然として巨大なままだ。Instagramのユーザー数は10億人以上、WhatsAppは約15億人だ。Facebook単体の月間アクティブユーザー数は23億8000万人以上だ。つまり、地球上のどの国の人口よりも多い。
そして、35歳のZuckerberg氏は、選ばれたリーダーではなく、Facebookでの絶対的な支配権と、あらゆる企業内クーデターを阻止するに十分な議決権を持っている。Zuckerberg氏は10日、NYTの記事に対する反論で、Facebookの分割は「何の役にも立たない」と述べた。
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