米連邦取引委員会(FTC)の元政策ディレクターであるDavid Balto氏は「企業分割が正しいアプローチだと言う人が多いが、裏目に出ることが多い」と述べた。同氏は20年前、Microsoftの独占的慣行に批判的なチームで働いていた。
当時、Microsoftの強引で対抗意識に満ちたやり方は批判の的だった。特に、世界のほとんどのPCに搭載されていたWindowsにウェブブラウザの「Internet Explorer」をバンドルしたことが人々の怒りを買った。そのころMicrosoft分割の話があったが、実現しなかった。
「1社を分割するよりも、業界全体のための慣行のルールを確立する方がより適切な解決方法だ」とBalto氏。
だから、Zuckerberg氏に地球最大のSNSを運営する権利を与えることで満足するふりをするのはやめよう。
われわれが本当に求めているのは、Zuckerberg氏が罰せられるのを見ることだと認める時が来た。同氏のデスクにトルーマン大統領同様の「責任は私が取る」と書いたメッセージプレートを置かせたいのだ。FTCがFacebookに科す可能性のある50億ドル(同社の2018年の売上高のわずか9%だ)の罰金を、Zuckerberg氏にも科したいのだ。Zuckerberg氏が誤って多くの人々に与えたのと同じ痛みを同氏にも感じさせたいのだ。
FacebookはZuckerberg氏へのインタビューを拒否した。
ワシントン大学の歴史学教授で「The Code: Silicon Valley and the Remaking of America」の著者であるMargaret O'Mara氏は「こうした企業がもっと早い段階で考慮しておくべきだったことが多数ある」と述べた。
同氏は、最近のテクノロジー企業を取り巻くムードを、20世紀の変わり目の、大規模な独禁法訴訟によって米石油会社Standard Oilが分割される前のムードになぞらえた。「今と同じように、当時も自由な企業と経済成長を支えつつ、同時に反競争的行為や消費者を傷つける行為について考慮する方法について、多くの議論があった」と同氏は述べた。
実際にZuckerberg氏を罰しても、カタルシスは得られても問題解決にはならない。
そうではなく、Facebookは改善される必要がある。そして、その作業は同社だけでは難しいだろう。
世界中の政治家は、これまでのように笑えないような無知でやり過ごすのではなく、テクノロジー業界のあり方を定義する必要がある。政府機関はFacebookがまた失敗するようなことがあれば、同社に強い姿勢で対応する必要がある。
だが、最も困難なのは、われわれユーザー自身が、Facebookに改善を要求しなければならないことだ。
それが最も難しいだろう。
なぜなら、これだけのスキャンダルが何年も続いているのに、ユーザーであるわれわれは、いまだにFacebookを肯定しているからだ。
われわれはFacebookにログインするたびに同社を肯定し、同社がユーザーベースを伸ばし続けることを支援している。ユーザーベースは、2018年のCambridge Analyticaスキャンダルの時点より8%以上増加した。
われわれはニュースフィード上の広告をクリックするたびに、Instagram上で「いいね」するたびに、FacebookのMessengerで友達にリンクを送るたびに、同社を肯定している。
だから私は、Hughes氏が何か対策を立てるべきだという意見に賛成する。「行動を起こさなければ、Facebookの独占はさらに定着するだろう」と同氏は書いた。
だが、その行動はFacebookの分割ではないだろう。われわれが同社を変えさなければならない。そして、可能な限り早く、そうする必要がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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