「アルヒが主体となり、不正をした事実はゼロ。フラット35は、不正使用があった場合は債権を買い戻す必要があるが、アルヒは設立以来、買い戻ししたことは一度もない」――5月14日に開かれた決算会見の場で、代表取締役会長兼社長 CEO兼COOの浜田宏氏は、こう断言した。
これは、5月4日の朝日新聞で、全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」が不動産投資に悪用されているという報道に対して、コメントしたもの。浜田氏は「住宅ローンは直接面談をして、居住意思を確認した後、融資する。融資後のローン債権は住宅金融支援機構に譲渡しており、万が一、不動産投資への流用などに関してアルヒがミスをしていれば、債権を買い戻す必要がある。しかし、債権の買い戻しは今までもなく、アルヒにミスはないと考えている」と現状を説明した。
1月から、不動産投資案件の流用について店舗向けに注意喚起をしており、住宅金融支援機構の調査で、不正利用が発覚した業者との取引も即刻停止。4月1日に業界内でスタートした、「投資用物件に使用しない」旨を記した書面へのサインも、約2週間前倒し、3月中旬にスタートしている。
加えて「正直これだけの対策ではすべてを防げない」(浜田氏)とし、AIを活用したリスク管理システムの構築を発表。これはネット上から情報をクロールしてくるのに加え、不動産会社6万5000事業所、アルヒの受理実績24万件のデータベースを元に、AIを活用して複合的に評価し、リスクスコアを算出するというもの。すでにベンダーと交渉に入っており、2019年末までにローンチする予定であることを明らかにした。
フランチャイズ店への取り組みとしては「最終面談ですべてのフランチャイズオーナーと実際に会い、決定している。その際に私が話すのは『ワンストライク・アウト』ということ。何か一度でもあれば、お店はなくなるといっている。契約後も、アルヒの社員を店長として派遣したり、店舗検査グループを設けるなど、厳密に取り組んでいる」(浜田氏)と説明した。
同日発表した2019年3月期通期の業績は、営業収益が238億4400万円、税引前利益が62億6400万円、当期利益が43億1200万円となり、いずれも業績見込み比を上回った。
アルヒ常務取締役CFOの吉田恵一氏は「住宅ローンの新規借入件数は、前年同期比、前期比ともに19.7%を達成。新規借入が好調に推移したことで増益となった」と分析した。
2019年3月期の施策取り組み状況としては、全国の拠点を128拠点から155拠点まで拡大。年間出展計画の25拠点を達成したという。RPAについては、本審査の業務プロセスに導入したほか、100%子会社であるアルヒRPAソリューションズを3月に設立。大手銀行2行からの事務受託が決定している。
2020年3月期の業績見通しは、営業収益が前年比15.5%増の272億5000万円、税引前利益が同16.2%増の70億2000万円、当期利益が17.2%増の48億5000万円。住宅の建築費または購入価額の30%以上を頭金として用意できることを対象にした低金利商品「スーパーフラット7」を投入するほか、変動金利商品の拡充、家を家計のホームドクターの始動などを住宅ローン事業で手がける計画だ。
一方、プラットフォーム事業では、不動産事業者への送客や暮らしのサービス「ARUHI新生活パック」への本格化、事務受託の件数拡大などにより、実行件数15%増、営業収益10%増、税引前利益15%増を目指す。
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