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チーズタルトやバターサンドで行列--人気製菓「BAKE」が貫く“1ブランド1商品”戦略

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 ITビジネスメディア「CNET Japan」を運営する朝日インタラクティブは、チーズタルトで知られる人気の製菓企業「BAKE Inc.(ベイク)」(以下、BAKE)でチーフクリエイティブディレクターを務める貞清誠治氏と、クリエイティブ部 部長を務める柿崎弓子氏を招き、同社の新規ブランド構築手法やクリエイティブ経営を学ぶ社内セミナーを開催した。ここでは、BAKE各担当者が語ったマーケティング手法を紹介する。

製菓企業「BAKE」のウェブサイト
製菓企業「BAKE」のウェブサイト

大切にする「おいしさの3原則」と「8割主義」

 北海道札幌市で「洋菓子きのとや」の創業者の息子が、2013年4月に裏原宿で創業したBAKE。香港やバンコク、韓国といった海外進出と同時に、ECサイトやウェブメディア運営を営む。アルバイトスタッフを含めると約1300人の企業に成長した。国内55店舗、海外52店舗、計107店舗を展開している。

 BAKEでは、「よい原材料を使う」「手間を惜しまない」「フレッシュな状態で提供する」ことを重視する「おいしさの3原則」を大切にしながら、8割の消費者に支持される「8割主義」を主たるアプローチに掲げてきた。その理由について同社は、「マーケティング的発想だが、テイストを喜んでもらえることを意識している」(貞清氏)と説明する。

 現在、焼きたてチーズタルトの「BAKE CHEESE TART」、新食感シュークリームの「クロッカンシュー ザクザク」、焼きたてカスタードアップルパイの「RINGO」、バターサンドの「PRESS BUTTER SAND」、焼きたてスイートポテトパイの「POGG」、ガトーショコラの「Chocolaphil」と、多岐にわたるブランドを展開する同社は、"1ブランド1商品"を貫く。

 貞清氏はこの戦略について、「BAKEは長沼(BAKE 創業者 兼 名誉会長の長沼真太郎氏)が28歳のときに考えたビジネスモデルが主軸。広義に菓子を捉えるとまだまだ挑戦できるマーケットがたくさんある。これまでの勝ちパターンにこだわらず、多様な挑戦を続けようと思う」と考えを語る。

BAKE チーフクリエイティブディレクター 貞清誠治氏
BAKE チーフクリエイティブディレクター 貞清誠治氏

 また、柿崎氏は「1ブランド1商品の場合、店舗作業は単純になってしまう。デザイナーとして店舗スタッフのモチベーションアップになることを常に考える。例えば、(制服の)Tシャツを更新した際に店舗を訪れると『すごくかわいい』と喜んでもらえた。顧客はもちろんだが、店舗スタッフが楽しんでもらえることを念頭に、ブランド運営と管理、製作に努めている」と話す。

本社は「サポートセンター」--数字に敏感な企業文化も

 BAKEのユニークさがにじみ出すのが、本社機能を「サポートセンター」と呼称している点だ。モデレーターが本件について尋ねると、「顧客と接する小売り業において、顧客接点は店舗スタッフ。本部はあくまでもスタッフを後押しする存在という意味合いがある」と貞清氏はその理由を説明する。

 「BAKEに入って2年未満の社員が多い。BAKEらしさや企業文化に対して、皆が共通認識を持ち、お互いにコミュニケーションをとることが今後重要になる」と、柿崎氏は急成長企業ならではの悩みを吐露した。

 もう1つのユニークポイントは、全職種の人間が数字に敏感な企業文化である。この点についてBAKEは「インハウスのクリエイティブは数字から逃げられない。携わったものが売れる・売れないは大きい。店舗によって異なる売り上げの変化はデザイナーもチェックしている」(貞清氏)。「デザイナーはトンガって、かっこいいものを作ればよいと思われがちだが、おいしさを伝えて売れる感覚を持ってデザインしなければならない」(柿崎氏)とクリエイティブ部門の立ち位置から説明した。

BAKE クリエイティブ部 部長 柿崎弓子氏
BAKE クリエイティブ部 部長 柿崎弓子氏

 BAKEはマーケティング部門やリサーチ部門を設けず、営業部門は店舗開発を兼務するなど、多様な業務を各自が担っている。同社はマーケティング出身の社員も少なくないため、自然とマーケティング的アクションを各自が実践できるのではないだろうか。確かに多くの企業では"全社員がマーケター"の意識を求められる時代だが、クリエイティブという観点で見れば明確な回答は存在しない。

 この点については、「(多様な商材に埋もれないようにするため)色を大事にした。シンプルで強くないと強者とは戦えない。他は柔らかいデザインが多いからソリッドなデザインを論理的に組み込んでいるが、最後はデザイナーの熱量が勝つ。もちろん熱量を込めても売れなければ悪。失敗も成功もダイレクトなため、スタッフが成長する利点もある」(貞清氏)と、いわゆる「目立つ」手法でインハウスデザイナーの成長を促しつつ、競合他社との競争に勝ち抜いてきたと説明した。

 とはいえ、デジタル時代におけるマーケティング活動にデジタルツールは欠かせない。メディアチームは「Instagram」を通じて写真の撮影方法やコーディネート、トレンドなどを共有し、店舗間は「Shopらん」でプロモーション情報を共有。社内はビジネス版Facebookである「Workplace」でコミュニケーションをしている。ただ、そこに至るまでには「Slack」など多様なツールを取り込んできたが、いずれも定着せず、今現在も主軸となるコミュニケーションツールはメールだという。「プロジェクトによってはSlack、このプロジェクトはTrelloなどリーダーの好み次第でコラボレーションツールは変わる」(貞清氏)と柔軟な姿勢をつまびらかにした。

 BAKEは現在上場準備中だが、「音楽でいえばインディーズからメジャーへ移る状況。広い視点を持ち、骨格を揺らがせずに『BAKEっぽさ』をどのブランドでも感じてもらえる企業を目指したい」(貞清氏)と展望を語った。

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