AppleとQualcommは米国時間4月16日、数年にわたって繰り広げてきた訴訟でついに和解した。両社は米連邦裁判所での訴訟で、新たな段階に進むところだった。
Appleは3月、Qualcommとの争いで同社の特許1件を侵害しているとされており、「iPhone」輸入禁止の現実的な可能性に直面していた。今回の和解は、Appleの説明によると、Qualcommの技術に関する2年間の延長オプション付き6年間のライセンス契約および複数年のチップセット供給が含まれる。
私がみる限り、すべての関係者にとって最善の結果だ。最も得をしたのは誰か? Appleの顧客だ。
Appleは2018年後半に発売した「iPhone XR」「iPhone XS」「iPhone XS Max」から、無線チップセットをすべてIntelのベースバンドプロセッサーに切り替えた。多くのAppleの顧客は、iPhoneおよび「iPad」の無線チップセットの品質が、この切り替え以降に落ちたと証言するだろう。
2社の和解の結果、この分野の唯一の顧客を失ったIntelは、5G対応無線チップセット事業から撤退する。
AppleがIntelのプロセッサを採用し始めたのは2016年9月の「iPhone 7」からだ。Appleは2種類のiPhone 7を発売した。AT&TやT-MobileなどのGSMベースのLTEネットワーク向けでIntelのベースバンドプロセッサを搭載するモデルと、Verizon向けのQualcommのチップセットを採用したモデルだ。
Appleがすべての「iOS」製品でQualcommのチップセットだけを採用したのは、2015年9月の「iPhone 6S」が最後だった。
2つのチップの処理能力ベンチマークテストの結果はかなり多様だ。ラボベースのパフォーマンステストでは、LTEネットワークでIntelのチップはQualcomm製品とほぼ同じという結果もあった。
だが、多数のユーザーが、特に最近のバージョンのiOSで、LTE(とWi-Fi)の信頼性とシグナル強度について不満を表明した。AppleとQualcommの訴訟のほとんどはソフトウェア特許に関するもので、Appleはそれらの特許侵害を取り除くために迅速に対処した。そのためにiPhoneとiPadの信頼性と実際の性能が犠牲になったっことは、ほぼ確実だ。
今後、この和解はさまざまな影響を及ぼすことになる。まず、訴訟対象だったソフトウェア特許が和解条件に含まれるのであれば、関連する機能、コードなどの無線接続の最適化がiOSに戻ってくる。たとえIntelのベースバンドチップ上で実行されるとしてもだ。次に、現行のAppleデバイスユーザーは、それがiPhone 7以降かあるいはそれより古いモデルでも、その恩恵を受けられる。Appleは数週間中にもiOSにこれらの修正を行うかもしれない。
LTEベースバンドの性能と信頼性も大事だが、本当に重要な進展は5Gで起きる。
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