Microsoftは米国時間4月5日、患者の医療記録を管理するサービス「HealthVault」を終了することを電子メールで顧客に通知した。このサービスは11月20日に終了し、保存されているデータは同日以降削除される。
HealthVaultは、Microsoftの初期のヘルスサービス製品として残っているものの1つだ。3月には、「Microsoft Health Dashboard」のアプリケーションおよびサービスのサポートを5月31日に終了するとしていた。2018年には、「HealthVault Insights」アプリケーションのサポートを終了している。
HealthVaultは、個人が自分の健康や医療に関する記録や情報を保存し、医療専門家と共有できるサービスだ。Microsoftは2007年にHealthVaultのベータ版をリリースし、2009年に公開した。
Microsoftは電子メールで次のように説明している。
「HealthVaultサービスの登録ユーザーに連絡している。重要な変更について確認してほしい」
「Microsoft HealthVaultサービスは、2019年11月20日をもって終了する」
「HealthVaultのアカウントに保存されているデータは、2019年11月20日付けで削除される。アカウントのデータを残したい場合は、ユーザーがHealthVaultアカウントからデータを転送する作業を行う必要がある」
「適切な措置を取って、HealthVaultアカウントに保存したデータや情報を移行してほしい。HealthVaultからのデータ移行を望む顧客を支援する目的で、以下で説明されている複数のオプションを提供している」
「HealthVaultサービスに依拠しているアプリケーション(モバイル版、ウェブ版など)を使用中の場合、HealthVaultサービスが終了した時点で、そうしたアプリケーションも動作しなくなる可能性がある。アプリケーションの提供元に連絡を取り、各社の計画に関する情報をたずねてほしい」
Microsoftは医療市場から手を引くわけではない。2月には、「Microsoft Healthcare Bot Service」の一般提供を開始するほか、グループチャットプラットフォーム「Microsoft Teams」にヘルスケア専用の機能を追加すると発表していた。また「Microsoft Azure」とTeamsで、医療記録の統合機能を提供するとしていた。一方で、最近多くの局面で行ってきたように、ヘルスケア事業の消費者向けサービスからは手を引きつつあるようだ。
Microsoftは10年以上前にヘルスケア分野に参入したものの、その後買収したヘルスケア関連の資産の多くを売却していた。しかし同社は2017年に、ヘルスケアに注力する「Healthcare NExT」プロジェクトの立ち上げを発表した。ヘルスケアは成長中の広範囲にわたる市場であるため、同社は最優先すべき市場の1つとして、取り組みを新たに強化しているようだ。
Microsoftは、データを別の個人用医療記録サービスプロバイダーにデータを移行またはエクスポートしたいユーザーに、Get Real Health(米国および国外の顧客)やAllscripts Healthcare Solutionsが運営する「FollowMyHealth」(米国の顧客のみ)に連絡を取るよう推奨している。
Get Real Healthの米国時間4月5日の報道発表によると、「HealthVaultアカウントの保有者は、3つのボタンをクリックするだけで、データがGet Real Healthの『Lydia』プラットフォームに移行される」という。Lydiaは、「iOS」版および「Android」版のネイティブアプリで提供され、医師や病院から医療データをアップデートする機能を備える。また、「Lydiaへのログイン時に、HealthVaultの認証情報を引き続き利用できる」という。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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