今から30年前にワールドワイドウェブ(WWW)を発明したTim Berners-Lee氏は、オンライン世界の悲惨な現状にもかかわらず、ユートピア的なビジョンを思い描いている。
同氏は「Solid」と呼ばれるオープンソース技術、そして、Solidの営利化を目指すInruptというスタートアップを支援している。この技術の狙いは、ユーザーのデータを、ターゲット広告や政治的操作の企てのためにそれを利用する人々の手から取り戻すことにある。そのデータを、ユーザーの管理する「Solid POD」と呼ばれるオンラインリポジトリに保管することで、自分の望む相手とだけデータを共有し、それ以外のあらゆる人間による詮索を防ぐことができる。Facebookよ、よく聞いておいてほしい。
「われわれはこの30周年という機会を利用して、中間軌道修正をしたいと考えている。多くの人が現在のテクノロジ世界の悲惨な状況に反発している」(Berners-Lee氏)
同氏は、オンラインIDおよび認証技術を手がけるOktaがサンフランシスコで開催したカンファレンス「Oktane19」で、自身の主張を述べた。だが、ウェブの改革を訴えることは、Berners-Lee氏にとって、街頭演説のようなものだ。Berners-Lee氏は今から30年前、人々が自分のウェブサイトを公開したり、ほかの人のウェブサイトを閲覧したりすることを可能にする最初のソフトウェアを開発し共有した。
Berners-Lee氏は何年も前からウェブの改善を呼びかけており、最近では偽ニュースと選挙での不正行為も、数多くある問題に加わっている。WWW誕生30周年を迎えた3月の記念日には、それらの問題を解決するために集団として対策を講じることを訴えかけた。同氏は、Solidがより良い基盤になることを期待している。
その未来に到達するためには、多くの開発者を説得して、Solidの技術を利用するソフトウェアを開発してもらう必要がある。さらに、広告は、インターネットの資金を賄う方法としては不健全であるため、開発者以外の人々に対して、自分で費用を賄うことに納得してもらう必要もある、と同氏は語っている。
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