スマートロック「NinjaLock」を手がけるライナフと1945年に創立した鍵の総合メーカーである美和ロックが手を組んだ。4月2日、賃貸住宅に特化したスマートロック「NinjaLockM」を発表。入退去時の鍵交換を不要にし、将来的には物理キーをなくすことまでを視野に入れる。
NinjaLockMは、賃貸物件に最適化された完全固定式の次世代スマートロック。後付けを想定して開発されたスマートロックとは異なり、玄関ドアと一体化されているため、よりスマートな外観を実現しているほか、施工会社、不動産仲介会社、入居者と、出入りする人が異なっても、同一のスマートロックで解錠、施錠できる「運用モード」を備える。
運用モードは、不動産仲介会社が内覧時に使う「空室」と住民入居後の「入居」を用意。空室モードでは、共通する1枚のカードですべての空室を解施錠できるほか、一度設定するだけで、管理会社の対応スマートフォンから解施錠が可能になるなど、内見時に生じるの鍵のやりとりをなくした。入居モードでは、空室モードが使用できなくなり、入居者が設定したスマートフォンや暗証番号のみの使用に切り替わる。入居者の退出時は再び空室モードにして内見などに対応する。
ライナフ 代表取締役の滝沢潔氏は「空室と入居モードを切り替えて使えることが、NinjaLockMのメリット。内見管理業務をワンストップで効率化できるほか、鍵管理のコストダウンができる」と賃貸特化型ならではのセールスポイントを挙げる。
賃貸住宅では、内見時の鍵管理業務を軽減するため、スマートロックを使う物件も増えているが、防犯面から入居時に通常の鍵に切り替えるケースも多い。また、入退去時に鍵の付け替えも生じるため、鍵交換の費用や手間がオーナーや管理会社の負担になっていた。
NinjaLockMは、ライナフが持つスマートロックの知見と美和ロックにおける鍵の製造技術を融合し、開発したもの。セキュリティやスマートフォンなどから施解錠できるスマートロック部分をライナフが手がけ、美和ロックが品質検査や製造を担当した。
「賃貸向けとして、特に重視したのは耐久性と安定性。美和ロックに製造をお願いし、徹底した品質向上を目指した。耐久性テストも半年以上をかけ、美和ロック品質でお願いした。開発には約2年を費やしているが、品質検査部分にもっとも時間を割いた」(滝沢氏)と話す。
本体は単3電池4本で駆動し、専用アプリをインストールしたスマートフォン、数字キー、NFCカードなどからの施解錠が可能。電池が切れた際は、コンビニなどで入手できる、9Vの乾電池を使い通電することで即時給電ができ、使用が可能になるという。
すでに、三井不動産レジデンシャルリース、三菱地所ハウスネットの都内物件への導入が決まっており、順次拡大していく計画。2020年夏ごろまでに累計1万台の導入を目指す。
滝沢氏は「導入を決めている会社が目指すのは、入居者に物理キーを渡さないキーレスの運用。ライナフでは、共用建物のエントランスがスマートフォンアプリで解錠できる『Ninja Entrance』も提供しており、エントランスと住居の両方をアプリで使え、簡単にキーレスの運用に踏み込んでいける」と、賃貸住宅における新たな鍵のあり方を示した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス