オープンソースCMS(コンテンツマネジメントシステム)を提供するAcquiaの日本法人であるアクイアジャパンは3月13日、日本市場における事業戦略を発表した。
Acquiaは、エンタープライズ向けオープンソースCMS「Drupal(ドルーパル)」用のクラウド型プラットフォーム(PaaS)製品「Acquia Experience Platform」を提供している。同製品は商用版のDrupalを中核とし、機械学習によるパーソナライゼーション機能やカスタマージャーニーに応じたレコメンド機能など、組織のデジタル戦略の推進に必要な機能群をモジュールとして提供するほか、APIで企業内外の様々なシステムやクラウドサービスとの連携も可能だ。
システムは組織のデジタル成熟度に合わせて拡張可能で、シングルサイトの構築やグローバルでのウェブサイト一括管理という従来のエンタープライズCMS機能に加え、デスクトップやモバイル、SNS、デジタルサイネージ、会話型インターフェースなどあらゆる顧客接点におけるブランド管理を一括して行い、統合的な顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)およびデジタル体験の設計・提供を可能とする。
Acquia チーフ・エグゼクティブ・オフィサー(CEO)のMicheal Sullivan氏は、Drupalについて「人数ベースで世界最大(130万人)のオープンソースコミュニティを有し、世界で4万6000人以上の技術者が活動、100万以上のウェブサイトで稼働している。世界で最も広く展開されているエンタープライズCMS」と紹介。またグローバルでのAcquiaのビジネスについては、顧客は4000社以上で、日本ではアステラス製薬やグローバル海運企業のオーシャン・ネットワーク・エクスプレス、三菱重工業などが採用しており、2018年度の売上は2億ドルを超えているという。
日本法人は、2018年12月に設立。今後1~2年の間に日本オフィスをアジアでの地域本社にしていく計画だ。アジア・パシフィック・ジャパン ジェネラル・マネージャーのChris Gibbs氏は、「日本市場ではエンタープライズ市場、政府向け領域に注力し、今年度の売り上げは前年度比100%増を見込む。日本国内でも2年以内にエンタープライズCMS市場でトップを目指す」としている。
具体的な計画としては、まず国内の開発環境の強化として日本法人の技術とサポートの担当者を2倍に増やすほか、ドキュメントやホームページ、トレーニングのローカライゼーションを実施し、今年中に技術者向けの日本語による認定試験を開始する。このほかにも、国内のコミュニティの拡大に向けて支援する。
販売面では、パートナービジネスの拡大を図る。現在のパートナーはCI&T、ANNAI、電通アイソバー、ジェネロ、関電システムソリューションズ、NTTレゾナントなど16社で、直近ではトランス・コスモスがパートナーになったほか、今後も「数か月内に国内とグローバルの大手SI会社2社がパートナーになる予定」(アクイアジャパン セールスディレクター 上田善行氏)と、大手ITベンダーをはじめとするパートナーシップが着実に進行している。
このほかにAcquiaの特色として上田氏は、オープンソーステクノロジーを中核に持つことを挙げる。昨今のデジタル時代のシステム開発において、OSのレッドハット、コンテナ技術のDockerなどさまざまなカテゴリーにオープンソースソフトウェア(OSS)企業が台頭しているが、同様にAcquiaはCMS領域にとどまらず、顧客体験のためのデジタルプラットフォームを提供するOSS企業のリーダーのポジションを目指すとしている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス