11月28日の「CNET Japan CMO Award & CNET Japan Conference 2018」にて、マーケティングツールを手がけるReproの代表取締役CEOである平田祐介氏が講演。日本を取り巻くマーケティングの現状、そしてウェブ・モバイルアプリのマーケティングプラットフォーム「Repro(リプロ)」が目指す世界について語った。
Reproは、ウェブサイトやアプリユーザーの行動・属性データを取得し、マーケティングに活用できるよう加工。それらのデータをプッシュ通知やアプリ内メッセージ、広告配信といったマーケティング施策に活用できるサービス。リテンション分析・ファネル分析をはじめとした定量分析機能や、動画による定性分析機能によって、ウェブやアプリのUI・UXの改善もできる。
サービスの提供開始から約4年が経過し、日本を含む世界59カ国、6000を超えるサービスに利用されるまでになった。国内では、KDDIや楽天、ユナイテッドアローズ、三省堂など幅広い業種の企業に採用されている。
そんなReproの平田氏が講演冒頭、キーワードとして真っ先に挙げたのが「ワントゥワンマーケティング」である。マスマーケティングの先をゆく概念として1993年に提唱されたものの、真に実現したことは、技術環境のハードルもあって今までに一度もなかったと平田氏は指摘。しかし、その状況はAIなどの登場によって大きく変わりつつあり、今後1〜2年で本当の意味でのワントゥワンマーケティング時代が到来すると同氏は見ているという。
現代のマーケティングで、モバイルを抜きには語ることはできなくなったが、企業にとっての悩みどころは「ウェブ」と「アプリ」のどちらを重視すべきかであろう。例えばECサイトであれば、スマートフォン向けウェブサイトは汎用性が高い。アプリはiOS/Androidそれぞれに向けた開発が必要なものの、プッシュ通知などの機能面で優れる。しかし、開発リソースには限りがある。
平田氏の答えは明快で「両方とも大事」。なぜならウェブとアプリでは役割が全く異なるためだ。平田氏は、「ウェブは新規ユーザーの獲得チャネル、アプリはリテンション(顧客関係維持:米国では明確にCRMチャネルと言われている)のためのチャネル」とする。
ウェブは検索によって、ユーザーが探し物・調べ物をするための場として機能しており、製品・サービスを新たに見つけてもらえる可能性が高い。対してアプリは、プッシュ通知でユーザーへアプローチできる点が非常に大きいという。「サービスを伸ばしたいのなら両方ないとダメ。ウェブで捕まえた顧客を、アプリに上手く送客して、そこでCRMコミュニケーションしていくことが重要」と平田氏は語る。
継続率で言えば、ウェブよりもアプリの方が高いことが、データ的にもほぼ間違いない事実という。楽天やヤフーなどの大手ECサイトでは、アプリからの注文時、ウェブからの注文と比較して付与ポイントを割り増すケースが多いが、これはまさに「アプリを利用してくれれば継続率が高くなる」という傾向を踏まえたものだ。
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