ロシアのトロールファームInternet Research Agency(IRA)がFacebookとTwitterから排除されるにつれ、Instagramがロシアによる偽情報拡散の新たな温床となった。
これは、米国時間12月17日に公開された、ロシアのソーシャルメディア操作活動に関する2件の包括的な報告書の要旨だ。一方はサイバーセキュリティ企業New Knowledgeの研究者らが公開、もう一方はオックスフォード大学のComputational Propaganda Research ProjectとGraphikaの研究者らが公開した。
米上院情報問題特別調査委員会は、Facebook、Google、Twitterなどの企業から受け取ったデータをこれらの報告書のために提供した。2016年の米大統領選期間中のロシアによる偽情報拡散活動が、ソーシャルネットワーク以外の第三者組織によって詳しく分析されたのはこれが初めて。
ロシア政府は、2016年から米大統領選に対する干渉は一切なかったと主張している。ロシア大使館にコメントを求めたが、回答は得られなかった。
Twitterの広報担当者は電子メールで、「当社の唯一の目的は、当社プラットフォーム上における公開された会話の健全性を高めることであり、選挙の正当性を守ることは、そのミッションにおける重要な側面だ」と述べた。
Googleはコメントを避けた。
報告書には、ロシアの工作者がどのようにソーシャルメディアを利用して、投票率を抑制し、人種や銃規制、移民など議論の的となる話題によって政治的分断を促し、「Being Patriotic」(愛国的であること)「Blacktivist」(ブラックティビスト)「United Muslims of America」(アメリカのイスラム教徒連合)といった過激なページによって米国人の意識を操作しようとしたかが記されている。
また、それらの活動は新たな場所にも深く浸透した。ターゲットの大多数(1億2600万人)が、世界最大のソーシャルネットワークであるFacebook上のユーザーだったが、ロシアの干渉活動のターゲットは、Facebook傘下のInstagramへと移行した。調査データのうち、Facebookの投稿は6万1483件だったのに対し、Instagramの投稿は11万6205件あった。
報告書によると、この移行が始まったのは2017年で、おそらくはFacebookやTwitter上でのロシアの干渉活動に対する監視が強化されたためだという。
これらの投稿は、米国のアフリカ系アメリカ人、キリスト教徒、フェミニストをターゲットとしていた。IRAは133件のInstagramアカウントを運営し、2年間で339万1116人のフォロワーと1億8324万6348件の「いいね」を獲得していた。
それ以上に議員らの注目を集めたIRAのFacebook上での活動は、6万2000件のページを運営し、333万4202人のフォロワーと3762万7085件の「いいね」を獲得していた。
Facebookは、IRAの活動がInstagramに移行していることには言及しなかったが、米議会や研究者らと協力して同社の調査を継続すると述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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