Googleの中国向け検索サービスは、実は完成にかなり近いところまで進んでいる……。そんな話が載っているThe Interceptの記事について、いくつかのポイントを紹介する。
なお11月末に公開された同記事については、部分的に触れた下記の記事がCNETに出ていた。
また米国時間12月11日に米上院司法委員会の公聴会に呼ばれたSundar Pichai氏(Googleの最高経営責任者:CEO)がこの件についての質問に答えていた、という記事も出ている。
これらとあわせて読むことで、Sundar Pichai氏が「何を明らかにしなかったか?」――つまり、質問者のレベルがもっと高ければ引き出せていたはずの事実といったものが読者諸氏にうまく伝わればと思う。それではさっそく本題に入る。
これは約3時間半に及んだ公聴会のダイジェスト映像。興味と時間がある方はC-SPANが公開しているノーカットの映像(文末参照)をご覧いただければと思う。
The Interceptが「Dragonfly」プロジェクトの存在を最初に公表した媒体であるのは、前回の記事で触れていた通り。
今回の記事も同じRyan Gallagher氏というジャーナリストがまとめたもので、主な情報源は4人。そのうちの1人が同プロジェクトに抗議して実際にGoolgeを退社したYonatan Zunger氏というエンジニア(他の3人はまだ在籍中のため氏名を明かせないとのこと)。そのせいもあって、一言でいえば「Google にプロジェクト中止の圧力をかける目的で書かれた記事」という性格のものといえよう。
そんな記事のなかで目を引いた点のひとつがサービス投入の目標時期で、具体的には2019年1〜4月だ。その時期に「ローンチできる状態にしておくように」という指示が、2018年7月にあったミーティングで、検索エンジン責任者のBen Gomes氏からDragonflyプロジェクトチームのエンジニアらに出されていたという。
Pichai氏が、Dragonflyについて、あくまで「可能性を探るもの」「実験」などと言い続けてきているのは既報の通りで、前述の議会公聴会でも同じ説明を繰り返していた。可能性をさぐるもの(exploring)と「投入可能な状態の製品」というのは本質的には矛盾しない、つまり「投入できる状態まで開発が進んでも、結局日の目をみなかった」という製品やサービスはたくさん存在するはずなので、Pichai氏の公聴会での回答はウソとは言い切れない。それでも、高給取りのエンジニアを含め100人を超える人員(The Interceptでは300人超とされている)を、そういう「出すか出さないかもわからない仕事」に18カ月以上もアサインしていたというのは、いったいどういうことなのか(あるいは、Alphabetの取締役会が承知していたことなのかどうか)。公聴会で質問していた議員のなかにはThe Interceptに言及していた人物もいたので、せっかくならそういう具体的な点まで突っ込んでほしかった(そうしていたら、もっと面白い展開になっていただろうに)と思ってしまう。
なお、The Intercept記事中には、以前に公表されていたPichai氏の説明について、「まったくのでたらめ(ultimately horse shit)」と反応しているGoogle関係者のコメントが出ている。「最初から100%投入する意図をもってあのプロジェクトは進められていた。Pichai氏はデリケートな政治的状況から距離を置こうとして、ああいう説明をしていただけ」というこの関係者の見方も紹介されている。
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