検閲対応の検索エンジンを中国に提供するための取り組みであるGoogleの「Dragonfly」プロジェクトが、データプライバシーをめぐって社内の抗議に遭い、大きな打撃を受けているという。The Interceptが米国時間12月17日に報じた。
記事によると、Googleのプライバシーチームは、同社が2008年に買収した北京を拠点とするウェブサイト265.comから収集したデータをめぐり、幹部らに抗議したという。そのデータにより、エンジニアらは中国本土からの検索クエリを把握することができ、Googleは提供する検索結果の精度を高めることができるはずだった。そのデータを基に、同社は検索製品を試作できるはずだったとThe Interceptは報じている。
しかし、265.comのデータについて何も知らされていなかったとしてGoogleのプライバシーチームが苦情を訴えたことにより、そのデータへのアクセスが停止されることになった。
The Interceptによると、そのデータへのアクセス停止により、Dragonflyプロジェクトは「実質的に終了」するという。
Dragonflyは、Googleのプロジェクトの中で最も議論の的になっているものの1つだ。Googleが中国の検索エンジン市場から撤退したのは8年前。撤退当時、Googleの共同創設者でソビエト連邦出身のSergey Brin氏は、中国の政策における「全体主義」を要因として挙げた。
このプロジェクトのうわさが流れただけで、抗議活動と辞職が相次いだ。11月には、数百人ものGoogle従業員(多くがソフトウェアエンジニア)が国際人権団体アムネスティ・インターナショナルと共同で、最高経営責任者(CEO)のSundar Pichai氏にプロジェクトの中止を求める書簡を公開した。GoogleはDragonflyについてほとんど公表していないが、同プロジェクトは、検閲対応の検索エンジンを中国に提供し、ユーザーの検索内容をそれぞれの電話番号と紐づけられるようにして、中国政府がより容易に検索を追跡できるようにするものと報じられている。
17日にThe Interceptの記事に関するコメントを求めたところ、Googleの広報担当者は、先週の米議会公聴会でDragonflyについて質問された際のPichai氏の発言を繰り返した。Pichai氏は11日に開かれた公聴会で「中国でサービスを開始する計画はない」と繰り返し語った。また、一時は100人を超える従業員がこのプロジェクトに従事していたことを認めたものの、その取り組みは社内の「限定的な取り組み」だったとした。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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