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メルカリが理想とする商品との“出会い”--研究開発組織「R4D」トップに聞く - (page 2)

藤井涼 (編集部) 阿久津良和2018年12月31日 08時00分
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 あと5年もすれば脳波を読めるようになると思うので、そのまま脳波で検索できるのが理想的ですね。今は脳内の思考を言語化しています。例えば「紺色のベルベット生地。ファスナーが上下についている」を単語として検索するのは面倒ですが、考えたイメージを直接検索できたら便利でしょう。

 今の脳波測定デバイスの精度は高くありませんが、イメージ図をそのままスマホに送り込むのは理論的に可能です。ただ、技術が追いついていません。まずは、言語検索で顧客が望んだ商品を正しく提案することが目標。これまでは「掘り出し物が楽しいメルカリ」でしたが、「欲しい物が手に入るメルカリ」を目指します。

メルカリが2019年に注目するテクノロジー

——2019年に注目すべき技術は何でしょうか。

 社会のIT化が1990〜2000年代に起きましたが、次の5〜10年はAI化が急激に進むと考えています。この波に乗り遅れるとIT化に対応できなかった企業が消え去ったのと同じことが起きるのではないかと思います。今、スマホ側でAIを使うエッジAI競争が始まっています。例えばメルカリに出品する場合、撮影した画像をクラウドで画像分析した結果をスマホに送っていますが、その処理がスマホ側で完結することが可能になるでしょう。

 TPU(Tensor Processing Unit)が実装されれば、2019年から(スマホ側で処理する)「スマホAI」となっても不思議ではありません。現時点ではどんなメリットがあるか思案中ですが、リアルタイム性の向上や動画の顔認識速度向上など、可能性が広がります。

キャプション

 AIの現状をスマホで例えるなら、スティーブ・ジョブズがiPhoneを発表したばかりの状態です。2007年1月の発表時点で、スマホがメルカリなどさまざまアプリのプラットフォームになるとは誰も思っていませんでした。Bytedanceが提供する動画アプリ「TikTok」などは好例ですね。アウトプットはアプリですが、背景にはAIの存在が欠かせません。そのような事例が増える年ではないでしょうか。

 また、仕事周りはスマホで最適化されていないため、(建設現場と職人をつなぐアプリである)「助太刀」のような現場の受発注、工事代金の即日受け取りを可能にするサービスも面白いですね。あと決済領域などは、認証技術が進歩することで変わると思います。虹彩認証が今以上に普及すれば、安全性と一意性がさらに担保されますから。

——R4D発表時は「技術で差別化するフェーズ」と話していましたが、2019年は何を目指しますか。

 世の中に価値が生み出されていないものは沢山あると思います。我々は、AIやデータといった強みを持ち、抽象的ですが「世の中で眠っているものを生み出すマーケットプレイス」を目指します。R&D(研究開発)は時間がかかるためお約束できませんが、今は種をまいて芽吹くか否かのタイミング。花が咲く、いや芽吹いたタイミングで世の中に披露できればと考えています。

R4D発足時には「技術で差別化するフェーズ」と説明していた
R4D発足時には「技術で差別化するフェーズ」と説明していた

——最後に、濱田さんが最近、興味をもった技術や製品があれば教えてください。

 ここ3年ほど360度カメラを色々と購入していますが、最近1番面白かったのは「Insta360 ONE X」でした。5.7K動画の撮影が可能で、自撮り棒を自動的に消す処理を実装しています。Oculus GOで動画を観ると鮮明で、その場所に滞在しているように感じます。旅行先など空間を保存できますし、今まで撮影側に回っていたお父さんも一緒に映れるので家族旅行にも向いていると思います。Instagramなどでセレブが使い始めれば、一気に広まるのではないでしょうか。

 このほかには、オムロン創業者・立石一真氏の「SINIC理論」ですね。「事業を通じて社会的課題を解決し、よりよい社会をつくるにはソーシャルニーズを世に先駆けて創造することが不可欠になる。そのためには未来をみる羅針盤が必要だ」との発想から構築されたものですが、PCもほぼなかった1970年当時に、現在の情報化社会や今後の最適化社会を予測できたのは、技術を突き詰めたからこそだと思います。

 Netflixの「カオスエンジニアリング」にも注目しました。自動復旧システム稼働中に、意図的にサーバーダウンなどの障害を発生させるカオスエクスペリメントを日常的に実行し、自動復旧システムが稼働するかを自ら確認するものです。セキュリティ面では攻撃者側の視点でセキュリティを見直す「レッドチーミングオペレーション」でしょうか。このように、企業・サービスの健全性を担保する企業が増え始めていますので、我々も同様の仕組みを取り込みたいと思います。

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