3年後はスマホで賃貸契約?--ReTechがリードする不動産業界の変革 - (page 2)

電子化が不動産業務改革の1丁目1番地の課題

 続いて、セイルボートの西野氏がニューヨークから中継で登場。西野氏は、現地で11月5~9日まで開催していた、世界一の不動産テックイベント「REAL ESTATE TECH WEEK2018」の視察中。同イベントでは「ブロックチェーンやAIなど、トレンドになっているテクノロジ企業が参加。ほかにも大がかりな建設プロジェクトを円滑に進めるためのコンストラクションマネジメントをITで効率化するという日本では馴染みがないようなアプローチなどがあり、ニューヨークでも不動産テックは盛り上がっている」とレポートした。

ニューヨークのイベントをレポートするセイルボート代表取締役の西野量氏(右上)
ニューヨークのイベントをレポートするセイルボート代表取締役の西野量氏(右上)

 次に自社サービスについて話した。セイルボートは、電子業務プラットフォーム「キマRoom!Sign」というサービスで、不動産業務の電子化を推し進めている。先般、家賃保証会社や保険会社などの周辺事業者が、同社が提供するAPIを利用して連携していく枠組みをスタートさせたところだ。

 西野氏は「不動産業界は、好景気なのに不人気で人が集まらない、紙が多いなどの問題を抱えており、『電子化』は、不動産業務改革の1丁目1番地の課題」という。電子化とは「システム連携していくこと」と定義する。

 不動産業界では家賃保証、管理システムなどさまざまなシステムがスタンドアローンで動く中、周辺業者が絡まりあって業務が進んでいる。すると、システム連携でシームレスにつながっていかないと、ITによる業務効率化が限定的になる。そこで同社は、周辺をつなげていくための「電子プラットフォーム構想」を掲げている。

 それぞれのサービスをつなげていけば、代理店が1回書いてもらった申し込み契約情報が引き継がれ、業務効率化が進む。「現場の人は色々入力しなくていいし、あれこれ紙を取り出さなくて済む」ようになる。

 業界の電子化について、「現在大手が仕込んでいるところなので、2019年に確実に電子化の第一波はやってくる」という。さらに「2019年は先行的な事例が登場し、検証を行って2020年には業界全体の電子化が進展するのではないか」と見解を示した。

IT重説のメリットは40分の削減と土日の有効活用

 最後にTryell野田氏が登場。開始から1年が経ったIT重説について、自社サービスの事例を含めて語った。同社は、2014年7月からオンライン内見サービス「オンライン内見LIVE」を提供している。なお「オンライン内見」という言葉は同社の商標だ。

Tryell 代表取締役社長の野田伸一郎氏
Tryell 代表取締役社長の野田伸一郎氏

 オンライン内見LIVEはIT重説に対応しており、スマートフォンで管理画面から予約、お客様へのメール返信、内見までができるサービス。「行きたくても行けない、見たくても見に行けないというお客様の物件探しの課題を解決する」もので、「3000件の予約実績がある」という。オンライン内見LIVEを活用することで、「顧客サービスの充実、来店率・内見率の向上、来店工数の削減が見込める。土日が多かった内見をオンラインにすることで平日を有効活用でき、時間配分、人員確保がしやすい」などのメリットを持つ。

 続いて野田氏は、主催者であるハウスコムなどのIT重説、オンライン内見の事例を紹介。それによると「来店による重説にかかる時間を約40分削減できた」という店舗の声や、「家族が一緒に見たり、親が地元から一緒に参加できるので、契約までの流れを効率化できる」「土日の有効活用で、空いた時間をほかの業務に回せてもう1本契約をとれる」などの効果がみられたという。

 さらに社会実験時のトラブル率も紹介した。トラブルの内容は「音声、映像、回線、そもそも端末が使えないなど」で、利用率が低い店舗は9%、利用率が高い店舗は3%のトラブル率と紹介した。

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