3年後はスマホで賃貸契約?--ReTechがリードする不動産業界の変革 - (page 3)

不動産ITはポータルサイトからReTechへ

 続いて、3人が登場しトークセッションが行われた。モデレータを務めた多田氏によれば「ReTech企業3社が集まってこのように話をすることはほとんどない」そうだ。

これまでほとんどなかったReTech企業3社によるトークセッションが実現した
これまでほとんどなかったReTech企業3社によるトークセッションが実現した
 まず、米国の状況について。「米国でReTechといえばFintechの次で、かなりの資本が集まっている状況」(多田氏)だが、現地に赴いている西野氏は、アメリカと日本のReTechに温度差は「正直あまり感じていない」とのこと。

 実際「米国の不動産管理会社は小規模の会社が多く、アナログが多い。家賃の支払いは6~7割が小切手」(西野氏)という。ただし、「(不動産仲介の)Compassのように、突き抜けた会社がマーケットにインパクトを与えている」(同)ためそのような印象を与えているようだ。

 一方で国内のReTechについて多田氏は、現状の不動産業界のIT化は「(SUUMO、HOME’S、athomeなどの)不動産ポータルサイトを中心に動いている」状況で、ReTechは「IT業界出身者や不動産会社の現場からテクノロジが出てきている」(同)と分析。

 その中で「この1~2年で進む速度は圧倒的に早くなった」(野田氏)、「確実にIT化は進んできている」(西野氏)と、それぞれが業界のIT化、デジタル活用に進む様子を肌感覚で感じている現状を語った。

 続いて今後のデジタル化の進展について西野氏は「10年前からIT化は着実に進んでいて、ポータルサイトやCRM(Customer Relationship Management)への対応は出尽くした。電子契約や電子申込み、IT重説、VRも10年後には一般的になっていると思う。問題はどれくらいかかるか」との視点を示した。

 これを受け、普及までの見通しについて「電子契約や電子申込みは10年弱かかるだろうが、トップ層の会社に限定すると3年以内にほとんどの会社がやっているのではないか」(西野氏)。「お客様が選ぶものなのですべてということはないだろうが、3年以内でやれる状態にはなっているのでは」(野田氏)。「3年前は、なぜVRで不動産業界にいくのか理解すらしてもらえなかった。3年後にほとんど使っているのでは」(多田氏)とそれぞれ見解を示した。

 最後に、「我々ReTech企業として気を付けていくこと」(多田氏)をそれぞれが発言した。

 野田氏は「テクノロジの活用は、お部屋探しの満足度を高め、不動産会社の業務効率化を追求するためのもの。オンライン化すればすべて解決するわけではないのでそこを注意しながら取り組んでいく。お客様が望んでいるものを作りたい」と顧客目線をアピール。

 西野氏は「紙が多いことを皆さん認識していて、今の紙やFAXが最適とは思っていない。業務改革の1丁目1番地のペーパーレス化に腰を据えて取り組んでいきたい」と、働き方改革を訴えた。

 多田氏は「外の業界から来ているので感じるのだが、皆さんが当たり前と思って諦めているような大きな困りごとをテクノロジで解決していきたい。ReTech企業同士で仲良くし、皆でテクノロジをつなげて、不動産会社の方のために、ユーザーも忘れず、協力して問題を解決していければいい」と、ReTech企業による業界支援を掲げた。

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