折りたたみスマホの時代が、正式に幕を開けた。サムスンが米国時間11月7日、初の折りたたみ式スマートフォン(「Galaxy X」あるいは「Galaxy F」という名前になるとうわさされているデバイス)を紹介したのだ。「Galaxy S9」や「Galaxy Note9」の発表のときとは異なり、通常の発表のように細かい点までは紹介されていない。短い動画でティーザー的に折りたたみスマホを披露し、壇上で同社の幹部が実機のプロトタイプを取り出して見せただけだった。
間近で見られたわけではなく、展示ガラス越しに拝むという距離ですらなかったが、そのデバイスの存在感は確かだった。Googleが後押しするだけのことはある斬新なコンセプトだ。それどころか、サムスンのプロジェクトは、メーカーを問わず全ての折りたたみスマホに対する「Android」の公式サポートに拍車をかけたとみられる。そんななかで、サムスンは7日午後のセッションで開発者を集め、少しだけ詳しい情報を提供した。4.5インチと7.3インチの2つのスクリーンを備えるといった情報だ。
少しずつ情報は出てきているものの、この折りたたみスマホが壇上でチラ見せされた今、疑問が増えるばかりで、分かっている点は少ない。これまでに分かっていることと、まだ明らかになっていない点を以下にまとめたので、参考にしてほしい。
サムスンから、折りたたみスマホの名称は発表されていないが、Galaxy XかGalaxy Fになるというのが、もっぱらのうわさだ。「F」は、「fold(折りたたむ)」あるいは「flex(曲がる)」の意味だろう。「X」は「eXtra(特別)」かもしれないが、「10」の可能性もある。既にGalaxy S9まで出ているからだが、「Galaxy S10」は2019年3月あたりに登場するとも予測されている。
サムスンの定義に従えば、折りたたみスマホとは、セルラー接続の機能を備え(これが「スマホ」に当たる部分)、完全に開けばタブレットのようになり、閉じれば普通のスマホのようになるデバイスを指す。同社のプロトタイプは、タブレットのようなスクリーンを本のように谷折りに閉じるが、同じ折りたたみスマホでも、Royoleの「FlexPai」は、山折りに閉じる。つまりスクリーンが外側になるということで、定義は一様ではない。
2017年に出たZTEの「Axon M」は、2台のスマホ画面をヒンジで留めたような初期型の折りたたみスマホだ。サムスンの折りたたみスマホ(とRoyoleのFlexPai)は、一体化したスクリーンが真ん中で折れるように見える。FlexPaiのスクリーンは、マグネットを使って閉じた状態に固定する。
Axon Mが2画面デバイスの全く新しい使い方を模索していることについては、その功績を称えるべきだろう。Royoleは既にその新しい使い方を採用している。2つの画面で内容をミラーリングするのもそのひとつで、テーブルの反対側にいる人が同じ動画クリップを見たりできるようになっている。ZTEも、次世代の折りたたみ(ヒンジのない、本当の意味での「折りたたみ」)スマホを登場させることは十分にありそうだ。
メリットは主に2つある。まず、折りたたみスマホでは使える画面の広さが2倍以上になる。例えばサムスンのモデルなら、閉じた状態で4.5インチのディスプレイがあり、開けば7.3インチの画面が出てくる。実質的には、普通のスマホ画面3つ分に相当するとも言えるのだ。
スクリーンが大きくなると、有効な画面が広がるだけでなく、デバイスのいろいろな使い方という可能性も広がってくる。サムスンの場合なら、3画面分の領域で同時にマルチタスクをこなせる。ZTEのAxon Mでは、1つのアプリを2つの画面全体で使うことも、2画面に別々のアプリを読み込むことも、同じアプリを2画面でミラーリングすることもできる。
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