サムスンが米国時間11月7日に開催した年次開発者会議で、皆が待ち望んだ時が来た。モバイルマーケティング担当上級副社長のJustin Dennison氏が、ジャケットの内ポケットからサムスン初の折りたたみ式スマートフォンを取り出したのだ。うわさでは「Galaxy X」あるいは「Galaxy F」と呼ばれていた(サムスンはこのデバイスの名称を明らかにしなかった)この2019年発売予定の折りたたみ式スマートフォンは、サムスンが世界最大のスマートフォンメーカーの座を維持するための最大のチャンスを意味する。
この新デバイスの披露は、スマートフォン販売の減速とイノベーションの停滞が生んだ「不況」が、サムスンだけでなくAppleの市場支配を脅かし、華為(ファーウェイ)などの競合に追い上げる余地を与えた中で行われた。折りたたみ式スマートフォンは行き詰まりの再活性化を期待させる。2018年に入って話題になった「Galaxy S9」や「iPhone XS」でさえ、2017年のハイエンドモデルとあまり代わり映えがしなかった。先鋭的な新しいデザインは、停滞する業界の活性化につながる一方で、使いやすいのかどうか、ただのギミックに陥るのではないかという疑問を呼ぶ。
折りたたみ式スマートフォンに取り組んでいるのはサムスンだけではない。LGとファーウェイも独自のプロトタイプを開発中であり、Royoleという企業は既にプラスチック製の「FlexPai」を発表している。FlexPaiの画面は、サムスンのDennison氏がステージで披露したデバイスのような谷折りではなく、山折りに曲がる。
サムスンは基本的な情報以外の提供を控えた。現時点で分かっているのは、このデバイスが本のように内側にたためることと、外側にも画面があるので半分に折りたたんでも使えるということくらいだ。同社はまた、このデバイスのために新たな製造プロセスや部品を開発しなければならなかったと説明した。そして、「One UI」と名付けた新しいAndroidベースのユーザーインタフェース(UI)を採用することも明らかにした。このUIは、「Galaxy S10」(仮)のようなサムスンの将来のスマートフォンにも搭載される見込みだ。
まだ不明なことは、筐体の素材がガラスなのかプラスチックなのか、価格はいくらなのか、実用的なのかただのギミックなのか、などだ。「折りたたみ可能」をウリにしたZTEの「Axon M」のように燃え尽きないようにする鍵は何だろう。
サムスンモバイルのプレジデントであるDJ Koh氏は10月のインタビューで米CNETに対し、「折りたたみ式スマートフォン市場は、われわれが販売を開始する段階ではニッチだろうが、必ず拡大する」と語った。
「ニーズ」はあらゆるデバイスカテゴリにとって強力な言葉だが、より広い画面が長所であるというのはスマートフォンメーカーと専門家の意見が一致するところだ。折りたたみ式スマートフォンは画面スペースが2倍になる。
折りたたみデザインはスマートフォンの新たな使い方を生み出す。開いた状態の広いスペースは、ゲームプレイや動画の視聴に向いているだろう。あるいは、画面を半分に分けてマルチタスキングで使える。
例えば、一方の画面は仮想キーボードにし、もう1方を操作画面にする。あるいは、両方の画面に同じ動画を鏡状に表示し、テーブルの反対側に座る友達と同時に楽しむこともできるだろう。また、この形状であれば映画を見ている間、ケースなどでささえなくても自立する。広い画面スペースは、さまざまな可能性を期待させる。
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