10月15日にソフトバンクの時価総額が大幅に減少した。今回はこの株価急落の引き金となったサウジアラビア人ジャーナリストの失踪事件、またその首謀者の可能性が高いとされるサウジ皇太子と米現政権との距離、それからソフトバンクのベンチャーファンド経由でサウジの資金が流れるシリコンバレーのテクノロジ企業の出方などについて記す。
ソフトバンクがふたつの顔を持つ会社であることは、CNET読者の皆さんならすでにご存知だろう。私たちに馴染みのある国内通信会社の方では、株式公開引受の主幹事が決まった(野村證券、Goldman Sachs、Deuche Bankなどに)とみられることが、先週末に報じられていた。
それに対して海外では、例の10兆円ファンド(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)の最大の出資者であるサウジアラビア政府を牛耳るとされる若き皇太子について、その行き過ぎた豪腕ぶりに注目が集まるような事件が進展中だ。ソフトバンク(少なくともビジョン・ファンド)にとって、この一件が単なるクシャミに終わるか、それともグローバルでの野望の追求に水を差す出来事になるかは今のところ分からないが、そんな観点から注目すべき価値のある話題として、できるだけ簡単に紹介したい。
なお、サウジ現政権とソフトバンクとの関係については、2017年1月に記していた下記の話が基本になるだろう。ぜひこちらも参照いただきたい。
桁違いの資金力にものを言わせながら、ここまで比較的順調にハイテクベンチャー大手各社への投資を続け、それを通じてシリコンバレーのベンチャーキャピタル業界を揺るがしてきたソフトバンクのビジョン・ファンド。だが、その筆頭スポンサーであり、孫正義氏と非常に近しい関係であることが再三にわたって喧伝されているサウジのMohammed bin Salman皇太子(以下「MBS」)に対する風当たりが、今回の問題により特に米国でにわかに強まっている。
これにより、同ファンドの置かれた立場が微妙なものになるーーざっくり言えば「大金主をとるか、潜在投資先をとるか」を迫られるような事態に発展する可能性さえ浮かんでくる。現在進行形のこの問題について、以下で具体的に動きを見ていく。まずは騒動のきっかけとなったJamal Khashoggi氏というサウジ人ジャーナリストの失踪事件から。
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