logo

ソフトバンク孫氏にも余波?注目集まるサウジ皇太子とシリコンバレーとの距離感 - (page 4)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「若き改革派の旗手」のもうひとつの顔

 2018年前半にシリコンバレーを訪れ、GoogleのSergey Brin氏やFacebookのMark Zuckerberg氏、それにAppleのTim Cook氏などと会談して、シリコンバレーでもそれなりの存在感を示していたかに見えるMBS。そんなMBSはこれまでところ「評価が別れる為政者」という印象が強い。

 ポジティブな点としては、女性の権利拡大(女性への運転免許取得の解禁、男女が一緒に観られる映画館のオープンなど)や、あるいは歳入に関する「脱石油依存」を目標に掲げた社会・経済改革計画「Vision 2030」が挙げられる。それに対し、ネガティブな方では、国内での思想言論の弾圧や人権侵害、隣国イエメン内戦への介入、それに「汚職撲滅・腐敗一掃」に名を借りた反対派の粛正(2017年11月)があり、また公私混同にも思える金遣いの荒さ(2017年11月に報じられた「500億円超でのダビンチ絵画落札」はその筆頭か)などもある。

 原油の値段が下がり、台所事情が厳しくなったことを受けて、王族を中心とする国民に対しては「もうこれまでのようにはいかない」ーー以前の「お前らの食い扶持はなんとかするから、その代わりオレたちのやりかたに文句を言うな」というやりかたが続けられないと言う一方で、自分では何百億円もするようなお城を買ったり超豪華ヨットを買ったりといった目立つ行動を繰り返している。そんな為政者に対して、改革で割を食う立場の人たちが反発しても不思議はない。

 なお行方不明になったKashoggi氏は、2017年11月の腐敗キャンペーンで拘束されたアル-ワリード王子(Disneyや最悪期のAppleに投資して大儲けした)とも親しかったらしい。同王子は、拘置所代わりに使われたリアドのリッツ・カールトン・ホテルでしばらく留め置かれた跡、政府と取引して、解放された。この時何らかの密約を交わしたことが本人の口から明かされていたが、その内容については当然明らかにしていない(政府にかなりの額の資産を巻き上げられたといううわさが消えないのはそのためだろうか)


Billionaire Saudi Prince Reveals Secret Agreement With Government

 このあたりのMBSをめぐる事柄についてはBloombergと、それにVOXがそれぞれ制作したYouTube動画の解説がある。いずれも英語のものだがわかりやすい内容なのでお薦めしておく。


The Millennial Prince Running Saudi Arabia

How this young prince seized power in Saudi Arabia

 ところで、このMBSの動きについて、この8月にThe Interceptにひとつ興味深い話が出ていた。

 Rex Tillerson元米国務長官の辞任(更迭)に関して、主な原因になったのがサウジ政府(MBSら)からのクレームだという話だ。なぜクレームがついたかというと、サウジとアラブ首長国連邦(UAE)が手を組み、しばらく前から関係のぎくしゃくしている(反目し合っている)カタールに侵攻しようとしていたのを、元ExxonMobilの最高経営責任者(CEO)でカタール側の権力者とも親しかったTillerson氏が止めに入ったから、とある。

 この主張の真偽は不明だが、サウジ政府の台所事情がさらに厳しくなっているのは本当らしく、この記事の後半には「現国王(MBSの高齢の父親)が王座に就いた2015年時点で7370億ドルあった(国庫の)準備金のうち、約3分の1がこの約3年間で使われてしまった」という一節がある。

 またそうした窮状を間接的に裏付けるような動きが9月に報じられていた。「サウジの公的ファンド『Public Investment Fund(PIF)』が借金するという異例の動き」というニュースである。

 サウジ政府の「虎の子」であるSaudi Aramco(国営石油会社)の株式公開(史上最大のIPO)は、以前から話があったもののまだ具体的な目処が立っていない。2016年夏にUberにぽんと35億ドル出資していたほどのPIFでも、すでに自己資金を取り崩して投資にまわす余裕がないという可能性もこの動きからは感じられる。

 だいぶ話が逸れたので、ここからは少し先を急ごう。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]