Googleが「Pixel 3」などの新デバイスでユーザーに勧めているのは、実際にはスマートフォンではない。ガラスと金属でできたこの機械であなたがGoogleのソフトウェアを使い、その結果、同社にあなたの個人情報を提供させるのが目的だと筆者は考えている。
だが、あなたの個人情報を守るGoogleの能力への信頼が揺らいだらどうだろう?
この疑問は、Googleが米国時間10月9日にニューヨークで開催した盛りだくさんのイベントの間中、招待されたメディア関係者の念頭にあったはずだ。同社はこのイベントで、最新のPixelスマートフォン、「Home Hub」というスマートディスプレイ、別売の脱着式キーボードを使えるタブレットの「Pixel Slate」を発表した。このイベントが開催されたのは、同社のSNS「Google+」の開発者ツール内で見つかったバグのせいで、最大50万人のユーザーデータが流出した可能性があることが発覚した翌日だった。
Googleは、3月にこのバグを発見して修正したが、問題を公表するかどうかの社内規定の「閾値」以下だったので公表しないことに決めたとしている。
The Wall Street Journalが報じたこのニュースによって、数十億人のユーザーの個人情報保護についての同社の姿勢に関する新たな疑問が浮上している。同社のデータ収集行動は以前から批判されており、またFacebookのおかげで消費者情報がどのように利用されているのかについての関心が高まっている。
今回の問題は、Googleへの信頼についての試金石の1つにすぎない。7月にはThe Wall Street Journalが、Googleアカウントでログインするサードパーティー製Gmail関連アプリのメーカーの従業員が、ユーザーの受信箱の中身を読める可能性があると報じた。8月にはAssociated Pressが、ユーザーが「ロケーション履歴」を無効にしていてもGoogleはユーザーを追跡できていたと報じた。
Googleは、Google+の問題ではデータが悪用された証拠はないとしながらも、このソーシャルサービスを終了すると発表した。
Googleは9日、こうしたプライバシー問題について直接的には触れなかったが、セキュリティに前向きな姿勢を見せた。Googleのハードウェア責任者、Rick Osterloh氏は発表イベントで「われわれはユーザーのセキュリティにコミットしている。皆さんのデバイスを守るための簡単で強力な方法を提供する必要がある」と語った。
Osterloh氏は、Androidデバイス向け「Google Playプロテクト」や、同社のモバイル製品に組み込まれており、8月に発売されたセキュリティキー「Titan」などのセキュリティ関連製品について説明した。
Pixelスマートフォンのエンジニアリング担当副社長のBrian Rokowski氏はあるインタビューで「われわれは、ユーザーの信頼を真剣に受け止めている。われわれのブランド全体は信頼に基づいている」と述べた。
だが、Googleはイベントではプライバシー問題ではなく、最新機能に人々の注意を向けさせようとした。
Pixel 3のグループセルフィー向け新機能や勧誘電話を避けるためのスクリーニング機能を発表した。「Google Home」アプリの改良された新バージョンやPixelの無線充電スタンドも発表した。
ハードウェアの仕様がどうであれ、シリコンバレーの活力源はデータだ。Googleがスマートフォンやスマートスピーカをユーザーに販売したがっているのは、ユーザーが以前のようにはPCのGoogle.comで検索しなくなっていることを知っているからだ。ユーザーはGoogle Homeデバイスにプレイリストを再生するよう命じ、お気に入りのレストランへのナビにはスマートフォンの地図を使う。
Googleがあなたについて、あなたの関心の対象について知れば知るほど、広告主にとって同社の広告の価値は上がる。広告主は、ユーザーの好み、年齢、興味の対象、位置情報に基づいて潜在顧客にターゲティングするためにGoogleに金を払うのだ。Googleの親会社Alphabetの年間売上高1000億ドルの約90%は広告収入だ。
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