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プレミアムインタビュー

降谷建志が語る「音楽とテクノロジー」--単独ロングインタビュー

藤井涼 (編集部)2018年10月17日 11時00分
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 ロックバンド「Dragon Ash」のKjこと降谷建志氏のソロ2ndアルバム『THE PENDULUM』が、10月17日に発売された。2015年の1stアルバム『Everything Becomes The Music』から約3年ぶりのリリースとなる。前作と同様に降谷氏が作詞作曲、アレンジをしているほか、ボーカル、ギター、ベース、ドラムス、キーボードまで、すべて1人で演奏しているという。

 CNET Japanでは約2年ぶりに降谷氏に単独インタビューを実施。今回も「音楽とテクノロジー」(前回は「デジタル」と表現)という切り口で、降谷氏とテクノロジーの接点や、音楽業界を悩ますチケット転売問題と電子チケット、聴き放題サービスの普及により変化する音楽と消費者の関係性など、幅広いテーマについて聞いた。

キャプション

バンドとソロでは“揺さぶりたいもの”が違う

——今回はDragon Ashではなく、降谷建志さんとしてお話をお伺いします。グループとソロ、それぞれにおける楽曲制作やライブ活動などには、どのような心境で臨まれているのでしょう。また、気持ちをどう切り替えていますか。

 バンドでは10代中盤から30代後半までの20年以上、(オーディエンスを)盛り上げることが正義、モッシュやダイブをより多く起こすことが正解という、狭くて激しいラウドな音楽の螺旋の中で生きてきました。一番の目的が、どこかや誰かを熱狂の渦に巻き込むということになると、どうしてもやれないこととか、こぼれ落ちるものが多々あるんですよね。

 これまで培ってきた表現方法だったり、使いたいアレンジだったり、そういう細かいところをバンドで自ら決めて、あえて縛りをつけることによって、光量の強い……範囲の狭い光を誰かに当てたいってことなんだけど、逆に言えばそこからこぼれ落ちるものって、足の踏み場がないくらい気がつくと散らばるものなので、それを拾い集める作業だけでもすぐにソロのアルバムができちゃう。だから、バンドの時のように誰かの体を揺さぶるというよりは、(ソロは)もうちょっと心を揺さぶりたいというのかな、違いとしては。

 気持ちの切り替えについては、使ってる楽器も、細かいことを言えばチューニングも違うので、意識しなくても「この楽器を持ったらDragon Ashは生まれ得ない」ということになるので、特に気にしていないです。

——バンドとソロで、聞き手の“揺さぶりたいもの”を変えているのですね。ちなみに私は、朝にDragon Ashの激しい楽曲でテンションを上げて、仕事帰りの疲れた夜にはソロの優しくて力強い楽曲に癒されるといった聴き分けをしています。

 すごいね。じゃあ、俺もそんな感じの気持ちなのかな(笑)。モードというか、聞き手の状況も違うってことですよね。まぁ、ソロの方がより自分の平熱に近いんですよね。だから、聴く人がそんなに心も体もアクティブじゃない時でもスッと聴ける、そういう感覚なのかな。俺が発している熱量とか使う筋肉も違う感じがするので。

——3年前に発売した1stアルバムは、ソロ活動後初のアルバムということもあり、Dragon Ashとの違いなども意識されたと思います。今回の2ndアルバムでは、心境や手がける楽曲に変化はありましたか。

 そうですね。1stアルバムを作った時は、完全にDragon Ashの活動に対して疲弊しきっていて、そのこぼれ落ちているものが、なんて言うんだろうな……わかりやすく言うと“ゴミ屋敷”みたいになっていたんですよね。頭の中とか心の中とか。だから、一度これを拾い集めたいっていう強い欲求から1stは生まれています。

 こういう生き方というか職業だから、自分の思っていることを形にして、それを誰かの耳に届けて対価を払ってもらう。そうやって生活をしていくのがプロのミュージシャンなので、その拾い集めたものをパッケージにはするんだけど、1stの時はこれを人前で歌うとか、誰かに評価してもらうっていう感覚が、あまりなかったんですよね。

2ndアルバム「THE PENDULUM」に収録された楽曲「Where You Are」

 (1stは)本当に自分で拾い集めて抱き起こすまでの作業が一番重要だったんだけど、今回(2nd)は、ライブをやるかやらないかも分からない時からメンバーを固定して、何度も何度もライブを重ねていくにつれて、「こういう人たちの前で、こういうメンバーと一緒に、この曲を誰かに届ける」ということを、よりリアルに自分の中で常に感じられる状態で曲を作るって言うのかな。人が聞いてどう思うかは何とも言えないけど、自分的にはもう少し誰かに発表している感覚が強いです、心の叫びというよりは。

降谷氏が使ってみたい“夢”の技術は?

——ここからは、「音楽とテクノロジー」という切り口で、降谷さんの考えを聞かせて下さい。最初のテーマは、『降谷さんとテクノロジーの接点』について。前回のインタビューでは、降谷さんがよく使うスマートフォンアプリやウェブサービスについて聞きました。当時は音楽系のアプリを中心に利用しているとお話されていましたが、それから2年が経ち変化はありますか。

 あまり変わってないかな。海外のアプリでOSが変わると対応しなくなるものとかあるじゃないですか。それでアプリが起動できなくて数が減ったりとかはしてるけど、自分が嫌で減らしてるわけじゃないからね。(スマホ画面を見せつつ)アイコンが変わったものも結構ありますね。

降谷さんのスマホ画面。音楽系のアプリが並ぶ
降谷さんのスマホ画面。前回のインタビューと同様に音楽系のアプリが並ぶ

——音楽系のアプリは、普段どのようなシーンで使うことが多いのでしょう。

 暇つぶしですね。音楽情報を調べるとかではなく(スマホを)楽器として使ってるので、音を鳴らすアプリがたくさん入ってます。前のアルバムではアプリで入れている音も結構ありますよ。たとえばメロトロンっていう、ビートルズが「Strawberry Fields Forever(ストロベリー・フィールズ・フォーエバー)」で弾いてた楽器のシミュレーターみたいなアプリがあるんですけど、もうメロトロン自体が身近にはない楽器なので、このアプリは前のアルバムで相当使ってましたね。スマホの画面じゃ小さくて弾けないから、でかいiPadですけど。

——過去の楽器の音色をデジタルで蘇らせて楽曲に生かすというのは面白いですね。ところで、最近だとスマートスピーカなども登場していますが、降谷さんは使っていますか。

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