チャットボットでAIを活用する上で、「学習データをいかに用意するか」は、高いハードルとなっている。FAQボットを構築する場合、仮に100種類の質問文があるとしたら、表現などが微妙に異なる類似質問文を数十倍は用意しなければならないという。
SMART Message BOTでは、この問題への対処として、類似質問文の自動生成機能を用意している。質問文をデータベース登録する際に、類似の質問文をシステムによって生成するという、逆説的な発想のシステムとなっている。
また、ユーザーからの質問に対してボットが自力で100%正確に返答するには、性能的にも、そして何よりデータベースの作り込みコストを考えても、現実的ではない。菊地氏は「7〜8割の処理をボットで行い、ボットで対処できないものは有人対応へ引き継げばOKというのが我々のポリシーだ」と明かす。SMART Message BOTにおいても、チャットボットでの自動応対から有人対応へ引き継ぐ機能はすでに実装されている。
仮に、チャットボットからシームレスに有人対応へ引き継ぐ機能がないとすると、回答が表示されなかった瞬間、エンドユーザーはすぐに「チャットボットって使えない」という烙印を押し、結局は内線・メールといった従来の手法に戻ってしまう。社内ユーザーサポート業務の“効率”を考える上で、非常に重要な仕様だと言えよう。
SMART Message BOTを導入した、とある大手SIerでは、経理・総務関連の問い合わせに対して24時間365日の対応が可能になった。これに加え、問い合わせの履歴が明確にデータ化されるため、FAQデータベースの更新・修正が容易になったという。
菊地氏によれば、質問数100〜1000件程度のFAQボットをSMART Message BOTで構築する場合、工期はおよそ1週間〜1カ月。電話・メールでの問い合わせ数が最大50%減った例もあるとアピールした。
「せっかくチャットボットを導入しても、(AIベースにするかルールベースにするかなどの)実現手段の選択を誤ると、むしろ非効率になってしまう。チャットボット構築サービスを比較検討する際には、初期費用・運用費用といったコストの観点はもちろん、メンテナンス方法やその他周辺機能など、自社の要件に応じた機能があるかも確認してほしい」(菊地氏)
FAQボットだけに限らず、チャットボットは外部システムの連携によってさまざまな応用・発展が期待できる。グループウェアと連携したスケジュール調整、日報作成、勤務シフト作成などの機能もネオスはすでに提供をはじめている。
働き方改革や人手不足を背景に、ITの世界では「RPA」(Robotic Process Automation)にも注目が集まっている。ホワイトカラーが行ってきた業務のうち、定型的なものを自動化しようという発想だ。
とはいえ、RPAは導入コストが大きくなりがちとの指摘もある。これに対して菊地氏は、チャットボットによる業務効率化策は相対的に低コストで、素早い導入が可能だとしており、身近な業務改善ツールとしての有効性をとなえた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
働くあなたの心身コンディションを見守る
最新スマートウオッチが整える日常へ
ドコモビジネス×海外発スタートアップ
共創で生まれた“使える”人流解析とは
Copilot + PCならではのAI機能にくわえ
HP独自のAI機能がPCに変革をもたらす