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銀座の一等地にオフィスを構えたベンチャーの覚悟--プレイド倉橋社長に聞く - (page 2)

藤井涼 (編集部) 日沼諭史2018年08月27日 08時00分
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CXプラットフォームを具現化する「KARTE Live」

 CXプラットフォームを実現するために現在開発している新機能が「KARTE Live」。ECサイトにアクセスしてきたユーザーが、ウェブサイトでどうマウスカーソルを動かし、スクロールしているのかを、KARTEの管理画面上でほぼリアルタイムに再現する。これにより、従来は単純にどのページにアクセスしたのかが数値でわかっていただけのところを、ユーザーがどう迷いながら、どこをクリックして、なぜ離脱したのかを見ただけで推測できるようになる。

 アクセスしてきた多数のユーザーの中から、1ユーザーの行動をピックアップして見る形になることから、サイト全体としてコンバージョンを高める施策には向かない。この機能は、個別のユーザーの行動に対して最適なマーケティングを実施することで、「その人が喜んでくれればコンバージョンは100%になる。この100%を何人に拡張していけるか、というアプローチ」だと倉橋氏は説明する。「定量的なマーケティングと、逆の定性的なマーケティングの両方を行き来することで、両方が良くなっていく」のが理想だ。

 KARTE Liveでは、“ライブ接客”も可能になるという。チャット型のウェブ接客に似ているが、チャットの場合は運用のための専用体制を常に用意しておく必要があるのに対し、ライブ接客では不要だ。相互にやりとりするのではなくユーザーのサイト上での行動を見ながら、適切なページや機能へナビゲートできるよう、サイト側から逐次ユーザー側にポップアップでメッセージなどを送れるものとなっている。

 これらの機能は、「分析の経験やリテラシー、時間などを極限まで圧縮して、誰でもすぐにマーケティングつながるインサイトが得られる」ようにすることを目指している。同氏は「インターネットで初めて、サービス提供者に対して“目”を付与できるんじゃないか。これまでは、いわば人とぶつかった回数、人から話しかけられた回数しかわからず、遠くの欲しそうにしている人が全然わからなかった。“目”がつくと、どんな人がどういう行動をしたのか、情報がすべて入ってくる。見えるからこそ、できることは広がる」と強調する。

「頑張らないとマジでヤバイ」と感じたGINZA SIX

 顧客体験を向上させるCXプラットフォームとしてKARTEが順調に成長していけば、企業規模も拡大することになるだろう。ところが倉橋氏は「事業が成長して大きくなってくると、自分たちがいまどこにいるのかわからなくなってくる。そういうとき、自分たちの進捗は2%、あるいは最近は0.2%くらいだと思うようにしている。そう認識していないとすべてを間違う」と話す。目立った競合も存在しないと感じていることから、「自分たちでどこまで行きたいのか、自らハードルをセットして、それに対してチャレンジしない限り成長角度は大きくならない」という危機感も持っているからだという。

移転先候補のなかで最も「マジでヤバイ」のがGINZA SIXだったという倉橋氏
移転先候補のなかで最も「マジでヤバイ」のがGINZA SIXだったという倉橋氏

 たしかにGINZA SIXにオフィスを構えるのは、現状の事業規模に対しては、同氏が語るようにふさわしくないのかもしれない。移転先の検討段階では他の施設も下見したが、「GINZA SIXは、頑張らないとマジでヤバイなというのを一瞬で感じた」ほどだったという。ただ、ハードルの高さとしては「自分たちが目指している成長に対しては適切だと思う」と言う。

 コスト面でも「何年かいる前提で見ると、トータルでは(利益に対する賃料として)ギャップは大きくない、許容できる範囲内に収まっている」と同氏。GINZA SIXへの移転は、計画当初は周囲から疑問の声も挙がっていたが、最終的には株主、社員、建物の所有者である森ビルなどが、同社やKARTEが目指すところに納得し、「全員が応援してくれた。結果、ギリギリGINZA SIXに手をかけることができた」と振り返る。

 移転後、従業員の出社率はより向上している。「コミュニケーションが増えていることも実感している。今回のオフィス移転は、会社がどこに向かおうしているのかを全員で共有する機会になった」と話す倉橋氏。銀座に拠点をもつのはIT系スタートアップとしては珍しいが、そこには同氏なりの仕事哲学もあった。

 「仕事場に、仕事をしに行く感覚であるうちは面白いモノは生まれないと思っている。僕らのようなスタートアップでの仕事は、仕事であり、趣味でもある。来てみるとわかる通り、銀座は日本で一番エネルギーのある街。そういう仕事の日常性みたいなものをプライベートな感覚で持ち合わせられる街でもあるんじゃないか」(倉橋氏)。

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