ベネッセホールディングスとソフトバンクの合弁会社で、学習支援プラットフォーム「Classi(クラッシー)」を運営するClassiは8月3日、Classiを学校で活用する先生を全国から招待したファンミーティングを東京で開催した。
Classiは、先生の授業や生徒指導、生徒の学習などをICTでサポートする学習支援プラットフォームで、2014年に提供を開始した。全国の4割超となる2100校以上の高校(中高一貫校を含む)に導入され、80万人以上の生徒に利用されているという。
生徒自身が学校生活の中で得た学びを記録して振り返られる「eポートフォリオ機能」や、先生・生徒・保護者などのグループを作って情報や資料などを共有できる「コミュニケーション機能」、オリジナルの問題を作ってテストを配信・自動集計できるウェブテストや、解答結果をリアルタイムに比較できる「アクティブ・ラーニング機能」、テスト結果をもとに生徒の得意・不得意にあわせて学習動画と問題を配信できる「アダプティブラーニング機能」などを利用できることが特徴だ。
2017年から開始したClassiのファンミーティングは、先生たちが立場を超えて、学校の未来や新たな学びを共創する場となっており、同日には北は北海道、南は沖縄から総勢100人近い先生が参加。各校でのClassiの活用事例がポスター形式で紹介されたほか、部活動やプログラミング、アダプティブラーニングなど、最先端の学びも体験することができた。
Classiでは幅広い機能を提供しているが、学校によってその活用方法はさまざまだという。ある学校では、生徒の家庭学習の内容に対して個別にアドバイスができるようになり、2017年度の入学生は過去最高の学力向上が見られたという。また、ある学校では授業のICT化を推進し、授業実施率が全教科で上がったほか、職員会議がペーパーレスになったとのこと。
ファンミーティングの目玉とも言えるのが、複数のグループに分かれてディスカッションするワークショップ。今回のテーマは「2030年の理想の学校・先生」だ。各校の先生やClassiのスタッフ、Classiのコンテンツパートナーなどで構成されるグループを作り意見を出し合う。
とはいえ、いきなり2030年の理想を語れと言われてもすぐに答えるのは難しい。そこで、まず今(2018年)の学校の「いいところ」と「もったいないところ」を洗い出した上で、2030年の理想の学校について語り合った。
たとえば、いいところとしては「昔と比べてスマホなどによってすぐに求める情報を得られること」を挙げた先生が多かった。一方で、もったいないところとしては、「一方通行の授業」「個性よりも同調を求めるムード」といった双方向性や自由度が足りないと指摘する意見や、「スマホゲームやYouTubeに夢中になりすぎている」といった、デジタルネイティブならではの課題が挙がった。
その上で先生たちが考えた2030年の理想の学校は、「先生はコーチングのみをする」「生徒たちがより自由にカリキュラムを選べる」「社会とシームレスにつながり、卒業後のキャリアに役立つ授業」「海外の学校とのオンライン共同授業」といった、従来の一斉教育ではなく、生徒ごとの個性を伸ばす教育を受けられるグローバル視点の学校だった。中には「生徒が授業の先生になる」といったユニークな意見も。
また、理想の先生については、「社会や企業との関わりが持てる先生」「生徒に気づきを与えられる先生」「多様性を認めて生徒の興味を伸ばせられる先生」など、上記の理想の学校を実現するために求められるであろう先生像を表す意見が多く見られた。
先生たちはワークショップを通して、日々の生徒指導や今後の学校づくりへの何かしらのヒントを得たようで、終了後の表情が一様に明るかったのが印象的だった。ある先生は、「学校の大きさや、公立・私立などは関係なく、生徒と先生がいれば教育の場は成り立つ。そこに支援してくれる叡智があれば、さらによりよい環境が作れる。(ワークショップを通じて)教育に情熱を注いでいる人たちと、場や時間を共有できたことは、何にもまさる収穫たった。これからも未来の人類を担う子どもたちに関われることに感謝しながら、教育に自分の役割を見出していきたい」と話していた。
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