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「差異力」を磨き予測不可能な時代に立ち向かえ--X-TANK伊藤氏の仕事哲学

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 トレジャーデータが主催するイベント「Treasure Data “PLAZMA” 2018 in Digital Belt Roppongi」が7月に開催された。ここでは、生活者への価値提供に向けたデジタルトランスフォーメーションをテーマに、各界の企業における取り組み事例などが披露された。

 同イベントの基調講演のトップバッターとして登壇したのは、数々のトップ企業でその手腕を発揮してきたX-TANKコンサルティング代表取締役社長の伊藤嘉明氏。さまざまな面で予測不可能な「VUCA」の時代とも言われる昨今において、ビジネスパーソンが「差異力を磨く」ことの重要性などを説いた。

X-TANK代表取締役社長の伊藤嘉明氏
X-TANK代表取締役社長の伊藤嘉明氏

「働き方改革」の推進は「年金破綻」を意味する?

 伊藤氏は、日本コカ・コーラ、デル、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント、ハイアール アジアなどで要職を歴任し、2016年にX-TANKコンサルティングを立ち上げた人物。現在はジャパンディスプレイの常務執行役員CMOも務めている。講演で同氏は、初めに同イベントのキーワードの1つともなっている「VUCA」を取り上げ、これからの時代を生き抜くための考え方を示した。

X-TANKコンサルティング株式会社 代表取締役社長兼CEOおよび株式会社ジャパンディスプレイ 常務執行役員CMOの伊藤嘉明氏
X-TANKコンサルティング株式会社 代表取締役社長兼CEOおよび株式会社ジャパンディスプレイ 常務執行役員CMOの伊藤嘉明氏

 VUCAは、「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を取ったもの。ビジネス分野の周辺に限ってみても、人々の嗜好や生活・ビジネススタイルの多様化、人口減少や高齢化による社会構造の変動と不確実さ、SNSの普及による情報流通の高速化とそれに伴う曖昧さなど、VUCAを象徴する要素が無数にある。ビジネス環境としても予測不可能な状況にあると言えるだろう。

 同氏はこの予測不可能なVUCAの時代において「環境変化に適応できないものは滅びる」と断言し、ビジネスパーソンとしてこれからを生き抜くための考え方を提示した。1つは「正しい比較基準をもつ」こと。例えば、企業においては競合との比較をしがちではあるが、同氏は「競合他社の分析は意味がない」と一刀両断。新たな発想を得るために、あるいは他社と同じ罠にはまらないために、「他の業界、業態を分析するべき」と話す。

 もう1つは「リスクを知る」こと。「リスク」について同氏は、一般的に使われているような言葉の意味に誤解があると言い、「リスクとは、何もしないことによって起こる弊害のこと。アクションを起こすことが前提の言葉なのに、リスクになるから何もしない、という話をするのはおかしい」と持論を展開する。チャレンジしないでいること、変わらないこと自体がリスクというわけだ。

 また同氏は、個人が1つの会社で仕事を続けることのリスクについても訴える。昨今声高に叫ばれている「働き方改革」に関連して、「政府がそれを進めていることの意味をよく考えてほしい。これは年金が破綻する前提の取り組みだ」と述べ、「これからは一本足打法は通用しなくなる」と語る。終身雇用制度の終焉は免れず、本業だけで十分な知識や経験、稼ぎを得るのも今後は難しくなってくると考えられるためだ。さらには1社のみでビジネスを完結させるような時代も終わる、と言い切る。

「1本足のキャリア」に潜む危うさとは

 そんなVUCA時代に重要なポイントとして伊藤氏が挙げたのが、「自分の直感を信じる」こと。時代は変化し続けており、従来の古い知識や慣習などもあてにならないことから、「業界の常識を無視する」ことと「知識・経験よりも姿勢を大事にする」ことも必要だとした。これらのことから、今後最も個人に求められる能力は「差異力」になると同氏。

これからの時代に必要になるのは「差異力」になると伊藤氏
これからの時代に必要になるのは「差異力」になると伊藤氏

 「差異力」の意味について、同氏は直接的には言及しなかったが、例えば以前から常識として考えられている事柄でも、現在の状況に当てはめたときに生じるズレのようなものを違和感として気付ける能力、と言ってもいいだろう。先述の「直感を信じる」ことにも近いが、ふとした時に現れた違和感を飲み込んで妥協したりせずに、「どうしてそうなのか」を考え続けることで「想像力と行動力が磨かれる」ことになると同氏は話す。

 もしくは、異なるフィールドで活躍できる能力をもつこと、あるいはそうした能力の必要性に気付けること、というのも「差異力」と言えるかもしれない。すでに述べたように、日本では単なるトレンドという形ではなく、政府として働き方改革を推進している状況だ。これが意味するところは、本業以外にも別の活躍の場をもつことが推奨されるという意味であり、反対の視点から見れば、同氏いわく「一本足のキャリア」がむしろリスクになることを意味する。

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