自動販売機で「スタンプ」の購入も--台湾とタイのLINE事情は

 LINEが6月28日に開催した、年に1度の大型カンファレンス「LINE CONFERENCE 2018」。今回のカンファレンスでは初の取り組みとして、注力国である台湾とタイのカントリーマネージャーが登場。各国における事業展開や戦略など、LINEが進めるグローバルな体制について話した。

 代表取締役社長の出澤剛氏によると、LINEは現在、国内外に28のオフィスを構え、6000人が勤務しているという。現在はアジアにおけるエンジニア拠点の拡充に注力しているとし、開発拠点も従来の日本・韓国・台湾・中国に加え、台湾やタイ、ベトナム、インドネシアへと開発拠点を拡大しているという。開発拠点の増設により、LINE全体の開発を促進するほか、ローカライズ開発能力の向上も目指す。

LINEの開発拠点は国外へ拡大
LINEの開発拠点は国外へ拡大

人口の3分の1がLINEを利用する台湾

 LINE 台湾ゼネラルマネージャーのロジャー・チェン氏によると、台湾では2013年に「LINE」のサービスをスタート。Ipsosによる市場調査では、2017年に最も影響力を持つブランドであると評価されているという。これは、台湾での普及率がLINEが展開する各国の中で最も高い89%を占めていることからもわかる。

 また、台湾では無料通話も人気があるといい、台湾の人口の34%が毎日利用している。この好調な実績を後押しに、2018年初旬に台湾でLINEモバイルをローンチ。成功をおさめているという。また、ユーザーエンゲージメントも世界で最も高く、月間アクティブユーザー数(MAU)に占めるデイリーアクティブユーザー数(DAU)の割合は87%で、ほとんどの台湾ユーザーが毎日LINEを使用していることになる。

 台湾ではPC版LINEの利用者数も多い。全世界でのPC版LINEユーザー数のうち、台湾のユーザーが占める割合は40%。仕事や学習でLINEを使用している傾向があるといい、チェン氏は「生産性やコワーキングプロモーションの一部となっている」と評価した。

PC版LINEユーザーの40%が台湾ユーザー
PC版LINEユーザーの40%が台湾ユーザー

 LINEがグローバル展開する際に掲げているのが、「ハイパーローカリゼーション」だ。LINEではグローバル展開にあたり、現地のライフスタイルや文化に寄り添う必要があると考えているという。

 台湾のコマース関連で最も成功を収めているのが「LINE Pay」。290万以上のユーザーが使用しており、台湾の銀行と提携したクレジットカードは大ヒットとなったほか、LINEポイントも29億台湾ドル分が使用されたという。また、2018年1月にローンチし、ユーザーも900万人となった「LINEショッピング」は、コンバージョンレートが約10%と、業界平均の2~3%と比較し高い数値となっている。

 「LINE TODAY」も、ユーザー数は1800万人を達成。MAUは77%を記録している。2018年2月に台湾を襲った地震の際に第一報を送信したのはLINE TODAYであり、緊急時に重要なハブとなったという。

 続いてチェン氏は、台湾における3つのプロジェクトを紹介。まず1つ目は、台湾でのカルチャライゼーションだ。2月中旬の旧正月では、スタンプやオンラインキャンペーンを展開。5日間のキャンペーンで、400万人以上のユーザーが参加したという。

 2つ目は、ロケーションベースのユーザーエンゲージメントを実現する「LINE Beacon」。運行情報や現在地に合わせたプロモーションをタイムリーに受け取れるもので、台北のタクシー500台や、35の地下鉄駅で実証実験を開始しているという。

タクシーや地下鉄で展開するLINE Beacon
タクシーや地下鉄で展開するLINE Beacon

 3つ目は選挙キャンペーン。公共行事を推進することが重要だと考えているというLINE。2018年の11月に大型選挙を控えている台湾においては、候補者に専用のLINEアカウントを提供。候補者はメッセージをLINEユーザーである有権者に送信できるほか、有権者は候補者の情報を受信、さらに候補者と直接交流もできる。またLINE TODAYでは、特別コラムも配信する予定だ。

 「これまでの業績を非常に誇りに思っている」というチェン氏。今後は、成長を継続し、サービスポートフォリオの多様化を進めていくとした。

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