続いて登場したのは、LINE タイのマネージングディレクターであるアリヤ・パノムヨン氏。LINEにとって2番目に大きな市場であるタイ。約4200万人のユーザーはタイのインターネットユーザーの約95%を数え、独占的なプラットフォームであるといえる。しかしながら、タイの世帯所得は日本の半分であるほか、プリペイド式の携帯電話が主流など、同国ならではの特徴も数多い。
そこで重要になるのがハイパーローカリゼーションだ。多くが日払いの給与を受け取り、プリペイド携帯に現金でチャージしているタイ。この実情に適合するように同国のチームが開発したものが、キオスク端末で「スタンプ」を現金により購入できるシステムだ。プリペイド携帯へのチャージに使用されるキオスク端末でのサービス展開は、現金主義である同国との親和性が非常に高いという。2017年9月にスタートしたこのサービス、現在は約17万台のキオスクでサービスを提供しているという。また、Unstructured Supplementary Service Data(USSD)を使用したスタンプの購入もできる。パノムヨン氏は、これらのような決済チャネルの拡大が、タイにおけるLINEの展開に重要であるとする。
タイでは、「LINE TV」も重要なコンテンツだ。タイでは他国同様にテレビの視聴率が低下しているが、コンテンツとしては重要な地位を維持し続けている。これを受けて2017年にローンチしたものがLINE TVだ。テレビで放送された番組は、LINE TVが一番最初に再放送する。これにより、LINE TVは再放送プラットフォーム1位の地位を占めている。また、LINE TODAYもニュースポータルで1位となり、ユーザー数は3200万人を数える。
また、タイでは独自コンテンツとして、オンデマンドシステム「LINE MAN」を提供している。4万店から取り寄せられるフードデリバリーや、セブン―イレブンの商品の配達、タクシーの呼び出しなどができるサービスで、特にフードデリバリーサービスではタイで1位となった。フードデリバリーでは、LINE MAN配達者専用の受け渡し口を設置する店舗まであるという。
LINEはほかにも、タイにおけるLINE Payのジョイントベンチャーを発表している。通信最大手のAISやマイクロペイメントサービスでナンバーワンのrabbitと手を組んだLINE Payは、駅や店舗でLINE ウォレットへのチャージや、列車の運賃や公共料金の支払いなどに使用できるようになった。同社では、タイでのモバイル決済ナンバーワンを目指しているという。
台湾やタイ以外の国々でもLINEは人気だ。インドネシアでは、ユーザーの8割以上が32歳以下のミレニアム世代。ニュースサービス・求人サービスなどのスマートポータルを展開しており、特にLINE TODAYはインドネシアで最も人気のあるサービスだという。LINE TODAYはインドネシア以外のアジア各国でも人気だ。例を挙げると、香港では30社以上のパートナーと提携し、月間利用者数は100万人を超えているという。
また、「LINE LIVE」をドイツ、中東、北アフリカの14カ国で展開。特に中東・北アフリカでMAUが20万を超えているとする。
このほか、カメラアプリの「SNOW」と「B612」は、世界でのMAUが1億8300万を記録。出澤氏は、この2つのエンゲージメントを基盤に、LINEとは全く異なるエコシステムの構築ができるのではないかと期待する。
単なるローカライズの段階を超え、ハイパーローカリゼーションをコンセプトにサービス展開を進めるLINE。出澤氏は、LINEが強い国ではスマートポータルとしてのサービスを提供するほか、そのほかの国々でもさまざまな切り口により、市場展開を進めていくとした。
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