栗田氏 : 2018年はVTuberをメインに推し出し、今までニコニコ動画をご覧にならなかった、非ユーザーの目に映ったのが大きいと考えています。初めて来場する方の割合も大きい数字として出ました。世間的なダウントレンドの中で関係者は戦々恐々としていましたが、開催してみれば非常に良い超会議となりました。
今回の超会議は“全員に刺さる”ことをやっていないのが特徴でしょう。たとえば、「超テクノ法要」などもその1つです。IP(知的財産)的に見れば、「殺戮の天使」のユーザーは10代ばかりですね。従来どおりの仕掛けも用意しますが、実際はどれが1つでもお目当てのコンテンツがあり、会場を回ってみたら他のものも良かったと。一定の区分に縛られず、来場者に気付きを得ていただくようにしました。
——近年はオリジナルゲーム作品の開発にも注力していますね。
栗田氏 : NHNとコラボレーションした「#コンパス」が成功事例の1つです。また、川上に「面白いことをやって」と言われて、KADOKAWAの電撃文庫と一緒に開発したのが「エンゲージプリンセス」。われわれが開発してIP部分はカドカワが所有しています。ゲーム市場は飽和していますが、顧客に訴求できるIPを用意すれば成功確率は高まると考えていました。その上でウェブブラウザゲームはniconicoと親和性が高く、niconicoと相性が良いものを開発すれば、と考えた次第です。
他のブラウザゲームを実況したいユーザーもいますが、権利的な問題は避けて通れません。そこで、ゲームのシステム本体とニコニコ生放送を連携・融合できたらと考えました。スマートフォンは各種制限が多いため、まずはウェブブラウザゲームで着手しました。HTML5ベースで動作し、ローンチは夏を予定しています。
——「プレミアム会員」の減少などが話題になることもありますが、今後はIPなどを軸にマネタイズを考えているのでしょうか。また、2月末から非ログイン化も始めていますが、どこをKPI(主要業績評価指標)にしていくのでしょう。
栗田氏 : シンプルにMAUやDAU(日間アクティブユーザー)を求めていきます。niconicoはもともとアニメファンが多く、コンテンツも多数ありますが分散しているため、4月からアニメ総合情報サイトである「Nアニメ」を試験運用として開始しました。ゲームなど他のジャンルでも同様の仕組みを考えています。この流れでユーザーを集めてniconicoのポジショニングを高め、メディア的な存在を目指します。その上でマネタイズは、現在プレミアム会員が主軸となりますが、今後は投げ銭による課金や、ブラウザーゲームの投入、メディア化による広告費など多様な手法を考えていきます。
——スマホ動画を中心に競合サービスが増えていますが、どのように差別化しますか。ニコニコ動画はPCのサービスという印象が強いですが、今後のスマホ向けの展開も教えてください。
栗田氏 : 1つは「総合力」。ライブ配信はしていても超会議ほど大規模なリアルイベントを開催しているサービスは他にはありません。もう1つは「ニッチ」の部分。われわれは政治や将棋といったコンテンツも先駆けて扱ってきました。ただ、最近は他社も同じことをされているので、新たなカテゴリを開拓できるようにチャレンジし続けます。最後は「コミュニケーション」。2017年11月の炎上はサービスの改善につながりました。運営に物言えるユーザーの存在は他社にはない長所です。この3本柱で進めていきたいと思っています。
また、スマホ向けについては、ニコニコ生放送のアプリを現在よりもインターフェースや画質、安定性を改善し、今夏中に新バージョンとしてリリースする予定です。そのほかにも、スマートフォンからの動画投稿をもっと促進していけるように、ユーザーのみなさんにも満足していただける機能を用意したいと思います。
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