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「ニコニコ動画」は新体制で本当に変わるのか--栗田代表に独占インタビュー

藤井涼 (編集部) 佐藤和也 (編集部) 阿久津良和2018年06月28日 09時30分
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 ドワンゴが2017年11月28日に開催した発表会では、「ニコニコ動画」の新バージョン「く」(クレッシェンド)や、さまざまな新機能がアナウンスされた。しかし、ユーザーからは画質や回線といった“サービス自体”の改善を優先すべきという批判が多く寄せられ、炎上ともいえる事態に陥った。

 それから程なくして、同年12月21日に当時同社の会長だった川上量生氏が運営責任者を退任し(現取締役CTO)、新たに同社取締役の栗田穣崇氏が責任者となる新体制を発表した。この約半年後となる2018年6月28日に、栗田氏を中心に改善を重ね、生まれ変わったニコニコ動画がユーザーのもとへと届けられる。

「ニコニコ動画」の責任者であるドワンゴ取締役の栗田穣崇氏
「ニコニコ動画」の責任者であるドワンゴ取締役の栗田穣崇氏

 新体制によって本当にニコニコ動画は変わるのかーー。栗田氏と同社 第2サービス開発本部 本部長の鈴木圭一氏、そして回線の改善パートナーであるソシオネクストのエンタープライズソリューション事業部 事業部長代理 脇本康裕氏に話を聞いた。

ユーザーとの間に「溝が生まれていた」

——改めて、2017年11月の発表会当日の状況と、炎上に至った経緯を教えてください。

栗田氏 : ユーザーのみなさんとの接し方を誤ったことに尽きます。背景には川上が「改善されていない」「オワコンだ」という意見が多い中で、インパクトの強いサービスを提供すれば、ユーザーのみなさんの気持ちが傾くと思っていたことがあります。しかし、ユーザーは画質改善や処理の軽減を重視しており、「2017年10月に改善する」という以前のアナウンスが影響し、炎上に至ったと考えています。もともとニコニコ動画はユーザーと密接な関係を築いてきましたが、ここ数年は溝が生まれてしまっていました。ひとえにわれわれの至らなさが原因です。

 発表会当日は何度も社内リハーサルを重ねましたが、当初はサービス改善部分に触れておらず、危うさを感じて私が急遽スライドを差し込みました。発表会開始前からネガティブなコメントが多く、あまりにも雰囲気が悪かったため、丁寧な進行を試みましたが、夏野(ドワンゴ 取締役 夏野剛氏)に「真面目すぎる」と言われました。彼には空気を読んでほしかったのですが、やはり発表会が進行するほど雰囲気は悪化します。そのため手順を省略し、最後は川上が質問を受ける形であの場を収めました。正直な気持ちを述べれば、「本当に生きている心地がしなかった。つらい発表会だった」と言えます。

2017年11月の発表会は、ユーザーによる厳しいコメントが飛び交う“炎上”状態となった
2017年11月の発表会は、ユーザーによる厳しいコメントが飛び交う“炎上”状態となった

鈴木氏 : 私は開発メンバーとともに社内の大型モニターで視聴しながら、負荷による発表会の配信トラブルの対応に負われていました。ただ、サービス開発に携わったメンバーも同席していたため、発表会中は彼らのことで頭が一杯になりました。受け入れられるか分からないけれど彼らなりに真剣に開発した結果に対して、罵倒を浴びて潰れてしまわないように、エンジニアとして前を向けるようにフォローし続けました。

——川上氏はある種カリスマ的な存在で、会長退任はドワンゴとしても大きな決断だっだと思います。川上体制を続けながら改善するという可能性もあったのでしょうか。

栗田氏 : 川上は人の言うことは聞きません。彼がアイデアを提案すると、周りも最初は「えっ」と疑問の声をあげますが、サービスとして完成するとそれを見て納得します。しかし、彼は交流の場において前に出るタイプではありません。また、現在のニコニコ動画は多くのサービスを展開しているものの、最先端の技術を盛り込んでいるとはいえないでしょう。そのため川上は、誰もが想像しないようなサービスやアイデアに注力し、それ以外の部分は顧客に正しく説明できる人間がトップに立つことで(現体制が)成立すると考えています。

——栗田体制になり社内やサービス内容に変化はありましたか。

栗田氏 : レポートラインでいえば以前は川上に上げていましたが、権限委譲にともないサービス開発やユーザー対応は私が決定しています。事後報告として川上とも情報共有しますが、社内はスピード感を持って動けるようになりました。サービスについては、2017年12月から改善を継続しています。その際に提案した機能面についてはおおむね完了、もしくは2018年内までに終える見通しがつきました。サービスの提供は改善の繰り返しです。今後は追加する新機能や変更点について丁寧に説明し、ユーザーとのコミュニケーションを強化していきます。

強力なパートナーと「回線」を強化

——6月28日から新バージョン「く」の提供が始まりますが、どこか一番の訴求ポイントになるのでしょう。

栗田氏 : 分かりやすいのはトップページの改修です。総合トップと動画トップ、生放送トップを予定していますが、これまでの総合トップは魅力的ではありませんでした。われわれは動画・生放送が売りですので、サムネイル画面数を増やしていく予定です。そのほかにも、生放送トップは公式と一般番組の違いをなくし、ユーザーがタイムシフト予約や動画主をフォローした結果がカスタムして表示されるようになります。生放送のウォッチページも現在は固定ですが画角を拡大しますので、ユーザーには普通のサイトとして少し良くなったと感じていただけるのではないでしょうか。

従来のniconicoの総合トップ。「魅力的ではなかった」と栗田氏は話す
従来のniconicoの総合トップ。「魅力的ではなかった」と栗田氏は話す
新バージョンでの機能改善
新バージョンでの機能改善

 投げ銭機能の導入はしばらく先となりますが、バーチャルキャストおよびニコニコ生放送にこの機能が加わります。非ログイン視聴も動画は対応済みで、一部の生放送も対応していますが、ユーザー生放送も含めて順次対応します。またNG設定の件数が少ないので、プレミアム会員向けに拡大します。そのほか、ニコニコ動画はエンコードパラメータを調整して画質を向上させました。ニコニコ生放送のユーザー生放送も720pの枠を全枠開放し、より良い画質で生放送が可能になるのは大きな改善と考えています。

——配信回りの改善についてもう少し詳しく聞かせてください。ソシオネクストの協力により、これを実現したそうですね。

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