Googleの「Android Things」担当エンジニアリングリードのRobert Ginda氏は、レゴブロックの上に置いたプロトタイプのディスプレイの写真を見せ、さらに次から次へと、同社の次期スマートディスプレイの開発過程を写したスライドを披露していった。
Ginda氏は、休暇中の子どもの写真を見せる親のように誇らしく顔を輝かせた。筆者には、その理由が理解できる。約1年前、これは同氏が少人数のチームで取り組んでいた地味なプロジェクトだった。それから1年経った「Google I/O」開発者会議では、同氏は大勢の開発者を前に、順調に進む開発作業について話していた。Googleのスマートディスプレイは7月に発売される予定だ。
1月の「CES 2018」で最初に発表されたGoogleの次期スマートディスプレイは、「Google Home」のようなスマートスピーカの音声制御機能を、ゲームのプレイや動画の視聴が可能なタッチスクリーンと組み合わせたものだ。Googleによると、LGやLenovo、JBLから、いくつかのモデルが同時に登場する予定だという。これらの製品は全て、似た機能を持つAmazonの「Echo Show」と競合することになる。
Googleには、スマートホーム用ハードウェアに関してAmazonの後を追ってきた歴史がある。Google Homeは人気製品の「Amazon Echo」の後に登場した。「Google Home Mini」はAmazonの「Echo Dot」に対抗するようにして発売された。
スマートスピーカと異なり、Googleはこれらのスマートディスプレイを自社ブランドの製品として発売するわけではない。そうすることにより、Googleは比較的新しいハードウェア分野で、自社ブランドの評判をリスクにさらさずにAmazonと競合することができる。さらに重要なことに、これらのスマートディスプレイは、基盤となるOSでどんなことができるのかを開発者に示す、理想的な概念実証としての役割も果たす。
これらのスマートディスプレイは、Android Thingsと呼ばれるシンプルなオープンソフトウェアを利用して開発された。2015年に発表されたAndroid Thingsは「Android」OSの簡易版であり、Googleによると、開発者がスマートディスプレイを複製したり、ハードウェアに関する独自のアイデアを盛り込んだGoogleベースの新製品を設計したりするのに必要なツール群を提供するという。
従って、今回のスマートディスプレイは単にEcho Showに追いつくための手段ではなく、Googleの開発者コミュニティーを奮い立たせるための呼びかけでもあるのだ。Googleがコミュニティーの頭脳の中から次の重要な製品を見つけ出し、献身的な設計者たちの基盤を利用して、理想的にはハードウェア分野で先頭に立ち、デバイスのエコシステム全体でAmazonやほかのあらゆる企業と競争できる下地を作ることが、今回のスマートディスプレイの狙いとみえる。
先日のGoogle I/Oでは、ロボットの手とじゃんけん対決をしたり(筆者は何度か負けた)、プラスチック製の花が感情検知カメラで人の表情を読み取って色が変わるのを見たりする体験も用意されていた。いずれの製品も販売される可能性は低いが、GoogleのI/Oの会場に展示されていた。これらは今回のスマートディスプレイよりコンセプト色が強く、開発者がAndroid Thingsを使ってできることを示すために披露されたものと思われる。
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